Dear my besties〜from Finally〜

☆ ページ50

「え〜〜〜〜〜働くの〜〜〜〜〜〜〜？」

あまりの大声に驚いて、キッチンから顔を出す。剛典はだらしなくソファに寝そべったまま頬をふくらませている。

「まぁあたしもそうそう遊んでらんないし？」


言いながらリビングに入る。ワンルームだからリビング兼ダイニング兼寝室なわけだけど。キンキンにクーラーをきかせた部屋。まだクーラーを使うには早いのに。電気代だってただじゃない……その言葉を飲み込んでテーブルの上を片付ける。

この部屋は狭いのに物があふれている。

ギター、楽譜、洋服、ゲーム、CD、マンガ、アクセサリーといったものがまじりあって渦をまいている。

剛典の精神状態そのものに思える。



「とか言っちゃって親父さんの保険金、結構入ったんだろ？ なぁ結花ーいくら残ってんだよ〜教えろよ〜、ゆうかちゃんてばぁ」

「痛い痛い、離してってばもぉ。……さぁいくらでしょーん」

「ふーざけんなよ、オレマジで聞いてんの！ その金で新しいギター買いたいなーと思ってるからさぁ」

「なんでお父さんの保険金でたーくんのギター買わなきゃなんないのよ。天国のお父さんが泣くわ」

「泣かねーって。あのギターさえあれば新曲がバンバンできて、ライブで話題になってスカウトが来るかもしんねーじゃん。いや、間違いなく来るね。そしたらむしろ親父さん、大喜びでしょ」

「新しいギターだと新曲がバンバンできるってとこ、意味わかんないんだけど。バンバンできるならいまのギターでもできるでしょ」

「バーーーッカ！ バッカだなー。だからバカバカゆーかって言われんだよ結花は。あの新しいギターの音色、なんともいえねーんだよ。創作意欲ががこんがこんわいてくんだから！」

「はいはいがんばれがんばれ」

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