☆ ページ41
「ほうれん草のペーストでしょー、キノコのパテでしょー、アボカドのディップでしょー、かぼちゃとクリームチーズのディップでしょー、それとこれは渾身の作の鶏レバーのパテ!」
「すーげー……店みたーい」
「えへー実はわたし、お店やってるんですよぉ」
「マージっすか! オレ超シアワセモノっすね! 今度その店行ってもいっすか」
「ぜひ! ……ってもぉ、くだらない寸劇はいいからあったかいうちに食べてみて」
まずはなにもつけないままパンを口に入れて、オレはしあわせに包まれる。柔らかくて甘いバターの香りが口いっぱいに広がる。
思わずAを見上げる。その笑顔でさらに一回り大きなしあわせに包み込まれる。子どもの頃母親とはぐれて迷子になり、ようやく見つけてもらえたときのような泣き出したいようなほっとしたような気持ちになる。
Aと付き合ってはじめてオレは、食べ物がひとをしあわせにすることを知った。
それまでは食事とは栄養補給程度にしか考えていなかった。食事しながら携帯をみたりパソコンをみたり本を読んだりテレビを観たりしていた。
この進んだ現代において口から物を、時間をかけて食べるなんてばからしいとさえ思っていた。サプリメントをいくつか飲んで栄養補給完了、なんてことに早くなればいいのに、と。
けれどAと付き合いはじめてからは食べ物ときちんと向き合うようになった。というか向き合わざるを得ないほどAの作るものはなにもかもがうまかった。
食べた物がそのひとの身体を作る。
当たり前だけれどこれまでそんなことは考えもしなかった。
Aと出会ってから、食ということについてオレは考えを改めるようになった。
それは最高に贅沢でしあわせなことだと思っている。
1029人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
happysmile2015(プロフ) - カズアキさん» smileさんちのけなげ臣…。あはは。確かに。プリキュア、わたしもさっぱりだよ。55人もいたなんて知ってた? 55人て! 勉強になるわー。 (2018年8月8日 9時) (レス) id: 33f6546aee (このIDを非表示/違反報告)
happysmile2015(プロフ) - ともさん» あってしまったら幸せがなくなっちゃいそうって印象的だなぁ。なるほどね。夢をみている時間が一番しあわせなのかもしれないね。そうだね。 (2018年8月8日 9時) (レス) id: 33f6546aee (このIDを非表示/違反報告)
happysmile2015(プロフ) - こげおさん» アクアがわかるこげ様がすごいわ。 (2018年8月8日 9時) (レス) id: 33f6546aee (このIDを非表示/違反報告)
happysmile2015(プロフ) - ユキさん» えぇっと…。ユキちゃんが言ってることが外国語のようにさっぱりわかんないんだけど…。唯一わかったことはプリキュアってもう15年もやってて55人もいるんだってこと。55人?! ひとりだと思ってた。びっくり! イヤホントに。 (2018年8月8日 9時) (レス) id: 33f6546aee (このIDを非表示/違反報告)
カズアキ(プロフ) - 臣の『イモート』どんな子?そこを想像しちゃいましたw 臣は主人公ちゃんとの接点を増やしたい?大切な人の体が心配?smileさんちの臣サマが“けなげ臣”で新鮮です。プリキュア、全然わかりません。 (2018年8月7日 18時) (レス) id: 7e4d9a1edc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:happysmile2015 | 作成日時:2018年7月7日 15時