#Fs7、さよならは、言わない。[リク] ページ29
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桜の蕾が膨らみかけたある日、彼女の突然の移動が決まった。必然的にこの地を離れることになるので、引越しを余儀なくされることになった。ただ、引っ越すのは自分だけでいいと言ったのだ。それにはっきりと不服を示すと、「シーズンあるでしょ」と言われた。
「別れるって言ったわけじゃない。遠距離になるだけよ。だから遥輝……そんな顔しないで」
そして引越し当日。いつもどうりの朝を過ごして、彼女を駅のホームまで送り届ける。
彼女はいつもどうり笑っている。俺を悲しませないように笑っているのか、それとも泣くのをこらえているのかは分からなかった。
ホームに並んで立つ。ジャンパーのポケットに突っ込んでいた手を出して、Aの手を握る。彼女の手はいつも子供体温で暖かい。もうこの温もりに触れることができないと思うと、いつまでも握っていたかった。
だが時は残酷だ。すぐに駅のアナウンスが流れて、彼女の乗る列車が入る。繋がれていた手も離れた。俺はおもむろに口を開く。彼女を引き止めたくて、話しかける。
「忘れ物はないか?」
「ないよ」
「まっ、あったらいつでも帰ってこいや。家の鍵やるから」
「ふふ、ありがとう」
彼女はふわりと花が咲くように笑う。けれどその瞬間、ぼろっと彼女の目から涙が溢れた。
「あれ?あれれ?……こんな筈じゃなかったのに…なんでッ…?」と涙を隠せない様子のAを優しく抱きしめた。
「大丈夫、また逢えるから。ほら、泣くな、泣くな」
俺の胸でごしごしと涙をぬぐって、顔を上げて、また笑う。そして俺から離れた。____いくな。置いてくな。言いたいことは、たくさんあった。でも、
Aは荷物を持って列車に乗り込む。そして敬礼のポーズで、笑って「いってきます」と元気良く言った。
「おん。いってらっしゃい」
どんなに辛くても、悲しくても、君にさよならだけは言いたくなかった。
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雲城-kumoki-(プロフ) - えりなさん» 了解しました!続編のほうで作らせていただきます! (2017年8月27日 0時) (レス) id: 34fa7040b9 (このIDを非表示/違反報告)
えりな - リクエストいいですか?石川慎吾選手に甘える系でお願いします! (2017年8月26日 22時) (レス) id: eb2c13ec19 (このIDを非表示/違反報告)
雲城-kumoki-(プロフ) - 締め切りました!!投票にご協力いただきありがとうございました! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 34fa7040b9 (このIDを非表示/違反報告)
みっくん(プロフ) - ◎ 是非お願いします…! (2017年8月22日 9時) (レス) id: 6f0c972c21 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうちゃん(プロフ) - ◎お願いしますm(_ _)m (2017年8月22日 8時) (レス) id: 25f87f55c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雲城 | 作成日時:2017年6月26日 22時