ハッピーエンドはまだ遠く (ページ10)

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　電車に乗って待ち合わせ場所に向かう。

　改札を出たらわかりやすい位置に、もう目黒くんはおった。ちょっと小走りに駆け寄って、声掛けようとしたら先に目黒くんが言う。

「おはよ、向井さん」

　うん、今日も笑顔が眩しいな。俺もおはようって返したら、さらに笑顔になる目黒くん。

「私服初めて見たけど、可愛いね」

　何言うてるん、思わずそう返す。この1ヶ月で俺がイジられキャラやって理解したんか、目黒くんはこうやってたまにイジってくるようになった。

「俺先輩やし、男やで！」

　と、ちょっと拗ねた風に言うたら「だってほんとに思ったから」なんて、たまに見せるふわふわの笑顔で言う。もー、ほんまにこの男は、って言いそうになったけど、我慢して俺も反撃。

「目黒くんも、かっこえぇやん」

　とりあえず今できる最上級の笑顔で。

　かっこえぇとは思っとったけど、口に出すのは初めてやなーなんて考えとったら、「え、」って固まっとる目黒くん。

「え、俺なんか変なこと言うた？」

　よーわからんくて、聞いてみた。

「いや、褒めてくれると思わなくて。 ……フツーに嬉しい、ありがと」

　なんて恥ずかしそうに言う。……待って待って、なんなんそれ。こっちが恥ずかしいわ！

「もう、ほら！行こ！はよ行かな、通天閣逃げてまうで！」
「いや、逃げないでしょ」

　そう言って笑う目黒くんは、もういつもの笑顔で。さっきのは見間違いやったんかな、って思いながら目的地まで二人並んで歩き始める。

「あ、そういえば待たせてもた……？」

　先着いとったから、ってちょっと申し訳なくなって確認する。

「ううん、全然。俺もちょっと前に着いたとこだったから、大丈夫だよ」

　そっか、と返すとまた感謝された。

「心配してくれたんでしょ、ありがと」って、そんなん彼女に言うたりや。俺に言うたって意味ないで、とか思いながら、今日の目黒くんはなんかいつもと違うなーって、ぼんやり考える。

　完全プライベート、やからかな？

　ほなやっぱり、ちゃんと楽しませたらんと。そう意気込んで、お昼ご飯のためにリサーチをかけた。