ハッピーエンドはまだ遠く (ページ33)

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＊2

　好き。

　好きって、なに？

　こんなに重たくて、苦しい言葉やっけ。

　目黒は普通に言うとったけど、俺はその言葉を、目黒に、目黒には、きっと言われへん。

　恥ずかしいとか、言いたくないとか、そんなんじゃなくて、多分それはそういうことで。

　この気持ちに、目黒に対する俺の気持ちに、気付いてもたら、簡単には口に出せへん。

　目黒が好き。

　たったそれだけの事やのに、人を好きになるって、恋をするって、こんな苦しいんやな。

　いつの間にか涙が出とって、自分で気付けてなかった気持ちの大きさがわかる。でも、もしかしたら気付きたくなかったんかな。

　こうなるってわかっとったから。

　偏見とかはなかったし、自分の気持ちを否定するつもりもないけど、目黒が俺を好きになることなんて、きっとないから。

　叶わへん恋ほど、辛いことはないもんな。

　これからどんな顔して目黒に会えばいいんやろ。もしこの気持ちがバレたら、目黒はどんな風に思うんやろ。嫌われるのは、ちょっと嫌やな。

　ほんま俺、めっちゃ女々しいやん。

　俺ってこんな感じやったっけ。いつもの明る過ぎる俺はどこいったん。

　できるだけ今まで通り、普通に接しよ。あかんって思った時は、いつものテンションで笑い飛ばそ。
　
　ドキドキは絶対してまうけど、今までよりはマシになるかも。感情の納まる理由ができたし、気持ちの処理はしやすくなるはずや。

　好きな人とこんな長く、ずっと一緒におれるチャンスなんて、もう無いかもしれんやん。

　楽しまんと、幸せ満喫せんと、勿体ないやん。

　ちょっと強引に気持ちを収めて、身体を起こす。もうちょっと残っとった準備を再開して、涙と一緒にスーツケースにしまった。