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K side
じわりと目に涙が浮かぶ。
怖い。急に知らないところに連れてこられて、刃物を向けられて。
なんで俺…。
?「なーんてね…って…わっ…ごめ、泣かすつもりじゃ」
K「…?」
?「ちょっと脅かそうとしただけで……ごめんな…?」
ぱっと表情に色が戻った男が、隅で座り込む俺の頭をくしゃっと撫でた。
その手は少し強引だったけれど優しかった。
K「なっ…」
先ほどとのギャップで俺の情緒はおかしくなりそうだ。
こいつは一体なんなんだ。
恐怖がまだ消えない俺は、掠れた声で男にたずねた。
K「おまえ、誰なの」
F「俺?俺は藤ヶ谷」
K「お前が俺を誘拐したの」
F「そうだね」
なんの罪悪感もなさそうな様子で飄々と答える藤ヶ谷というこの男。
K「なんで」
F「それはお前自身もわかってるんじゃない?金だよ金」
指で丸をつくりながら鼻で笑うように言う。
正直こいつが言う通り、俺は理由に検討がついていた。
わかりやすく言うと俺の家は金持ちだ。
父親が大企業の社長をしている。おそらく世間的にも有名なところ、なんだと思う。正直よくわかっていないけれど。
F「だから、身代金のためにお前には人質になってもらうってわけ」
K「……そんなにうまくいくかな」
F「なに?すぐ捕まるよとでも言いたいの」
K「いや…」
F「とりあえず明日、お前の父親に連絡するから」
K「………」
俯く俺と男の間に沈黙が流れる。
そのとき、俺のお腹から大きな音がした。
F「…ごはんにするか」
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作者名:あかつき。 | 作成日時:2023年5月31日 0時