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F side
今日で刑務所生活も終わりを迎える。
最後の手続きを終えると、久しぶりの外だ。
3年間、長かったのか短かったのかわからない。でも、真面目に生きてきた3年間だった。
さて、これからどうしようか。
正直、親に合わせる顔がないけれど、一回実家にでも顔を出そうか。
そんなことを考えて、いつか通った公園を歩いていたときだった。
？「待ってたよ…！」
階段の上に立つ、制服を着た男の子。
近所の中学生だろうか。逆光が眩しくてよく見えない。
でも、心の何処かでそれが誰かなんてとっくに分かっていた。
F「ひろ…みつ？」
K「藤ヶ谷！！」
F「うわっ」
階段を駆け下りて来た男の子が飛びついてきた。
3年前よりもずっと背が伸びて、でも俺よりはずっと小柄で、かわいさを残しつつもすこしだけ大人びた宏光だった。
K「会えた…やっと会えた…！」
F「なんで…」
K「あんな最後はいやだよ。俺、やっぱり藤ヶ谷とこれからも過ごしたい。藤ヶ谷のことが好きなんだ、大好きなんだ」
唐突な告白。
真っ直ぐ見つめてくる大きな瞳には一切の曇りがない。
K「いつか、あのときの恩返しをしたいとずっと思ってた」
F「お前、誘拐されてたんだぞ。犯人に対して言うなら恩返しじゃなくて復讐だろ」
K「ふふっ、そうだね。じゃあ藤ヶ谷に復讐する。今度は俺が藤ヶ谷を攫う。藤ヶ谷の心を絶対攫ってみせる。だから藤ヶ谷の時間を俺にちょうだい。俺に復讐する時間を、ちょうだい」
F「…俺には罪を償う責任がある。復讐なら、俺はそれを真摯に受け止めるしかないよな」
顔を見合わせて、笑い合う時間は3年ぶりだったけれど、すっと心に入ってきて、くすぐったいような気持ちになった。
爽やかな心地よい風が頬を撫でる。
さて、まずは二人で何をしようか。
終わり
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作者名：あかつき。 | 作成日時：2023年5月31日 0時
