復讐の先に (ページ27)

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K side

二人、警察署の前に佇む。

F「俺はずっと、復讐のことだけ考えてた。でも、宏光と暮らして、なんだか心がやすらいだ気がした。復讐のために自分が罪を犯すなんて冷静じゃなかった。ちゃんと償うよ」

K「俺、藤ヶ谷のことさ、」

F「行こうか」

俺の言葉を最後まで聞かずに、どんどん足を進める藤ヶ谷を追いかけようとしたとき、パトロールから戻ってきたらしき警察二人組に声をかけられた。

「君…今捜索願が出されている北山宏光くんだよね」

K「あ…」

目の前に現れた警察官に事の経緯を淡々と説明をする藤ヶ谷の言葉を聞き、一気に形相が変わる二人。

「あとは中で話を聞くから来てくれるかな」

F「はい」

大人しく、一人の警察官とともに建物の中へと向かう藤ヶ谷。残ったもう一人が俺に問いかけた。

「君も、違う場所で話を聞いてもいいかな」

そう言われ、手を取られる。

待って。藤ヶ谷が行っちゃう。

傍から見たら長い間誘拐されていた子供だ。きっと安心させようとしてくれているのだろう。

でも、どんなに優しい声でも、ぬくもりを感じる手のひらでも、今は藤ヶ谷の近くにいるほうが一番安心する。落ち着く。

やっぱり俺、藤ヶ谷といたいよ。

K「藤ヶ谷っ！」

「ちょっと、待ちなさい！落ち着いて」

K「藤ヶ谷！ふじがやぁ！！」

追いかけようとして走り出す俺をいとも簡単に捕まえる警察官に俺はばたばたと暴れることしかできなかった。

待って、待ってよ。俺、やっぱり藤ヶ谷と一緒にいたいよ。行かないで。

藤ヶ谷を呼ぶ必死な俺の声に、ずっと背を向け歩いていた藤ヶ谷がこちらを振り向いた。

F「宏光、ありがとう。俺も幸せだったよ」

K「…！」

そういって見えなくなった藤ヶ谷の最後のやわらかい表情はきっと一生忘れられない。