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K side
もうずっと自らの意思でここにいた。
もう外へ出たいとも思っていなかった。
K「藤ヶ谷…どこ…っ」
暗い夜道をあてもなく走る。
こんな闇雲に探したって見つかるわけがないことなんかわかっていた。
でも、じっとしていられなかった。
今までしっかり外を見てこなかったから気づかなかったけれど、あたりを見渡すと見慣れた風景が続いていた。この辺りはもとの俺の家の近くではないか。
K「っ…ここ…」
いつの間にかたどり着いていたそこは、俺と藤ヶ谷が初めて出会った公園だった。
"出会った"という言い方をしていいのかはわからないけれど。
つい足が止まる。
ここでの出会いが俺の生活を一変させた。
いつのまにか俺は、俺を誘拐した犯人を好きになっていた。
不思議な気持ちに襲われて、しばらく動けなくなっていたけれど、ふと我に返る。
そうだ、あいつを、藤ヶ谷を探さなくちゃ。
そう思って足を踏み出そうとしたその時。
「宏光…?」
急に名前を呼ばれて振り返ると予想もしていなかった人物が視線の先にいた。
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作者名:あかつき。 | 作成日時:2023年5月31日 0時