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部屋に戻って、昨日届いたばかりの衣装を広げる。
有名なデザイナーに注文し、高級な素材をふんだんに使った特注品だ。
真紅に染まった布地に、幾つものダイヤが散りばめられている。ウエストラインもハッキリしており、緩やかに広がった裾のフリルが綺麗に揺れる。
さすが新品のクルマが買えてしまうほどのお金を費やしただけの事はあると思った。今までの特注品の中でダントツでお気に入りだと言える。
寝台に広げたドレスを見ていると、部屋のドアがノックされた。
それに返事をすると、世話役のばあやの声が聞こえる。
「お嬢様、ご試着なされますか？」
「えぇ、丁度着てみようと思っていたの。お願いするわ」
いつも思うが、どこからか見ているかのようにタイミングが良い。
長年私に付き添い、鍛え上げてきた勘というものなのだろうか。
失礼します、と入ってきたばあやを招き入れて早速ドレスに腕を通す。
この瞬間が私はとても好きだ。
なんだか、シンデレラのように魔法にかけられた気分になれるから。
ばあやの手によって着々と着付けられていく。
鏡に映る自分が、自分じゃないみたいで。
「さあ、出来ましたよ。お嬢様にとても良くお似合いですね」
キュッと腰のリボンを結んで、ばあやが一歩引く。出来たという合図だ。
「すごい……とっても綺麗ね、このドレス」
くるりとその場で回ってみれば、散りばめられたダイヤがキラキラと輝いた。
ばあやは嬉しそうな私を見て、微笑む。
「ふふ、嬉しそうで何よりです。直ぐに着替えられますか？」
「いいえ、もう少し、着ている事にするわ」
私の言葉に頷くと、静かに部屋を出ていった。
それを確認すると、扉を開けてベランダへ出てみる。ひやりと冷たい風が頬を撫でた。
お父様の部屋を訪れたのが夕方過ぎ、今はもう夕日も沈んで月が昇っている。
柵に腕をついて月を見上げた。
その時、強めの風がびゅうと吹いて。
ぎゅっと目を瞑った。
その風の音の中に、コツリ、と靴の音が微かに聞こえて。
「こんばんは、今夜は月が綺麗ですね…」
「……っ！」
目を開けた先には、白を身に纏った彼がいた。
驚きに言葉を失っていると、乗っていた柵から軽やかに降りて私の前に跪く。
「失礼、ご挨拶が遅れました。お初にお目にかかります、Aお嬢様…」
私の手を取って、そっと口付けを落とす。
そんな無駄ひとつない動作に、私は目を奪われてしまった。
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天桜＊(プロフ) - Tiinaさん» コメントありがとうございます！嬉しいです！！投票1回までなのが切ない……！！頑張ります！ (2019年6月11日 20時) (
レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
Tiina(プロフ) - どうしよう、投票しようとしたら既にしてあった。私こういうのもだいっすき！頑張ってください！楽しみにしてますね！ (2019年6月11日 20時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！中々更新が出来ないのですが、期待に応えられるように頑張ります！！ (2019年6月10日 18時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - おもしろいです！これからも頑張ってくださいね！ (2019年6月10日 16時) (レス) id: 0606bdde72 (このIDを非表示/違反報告)
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