FILE.2 ページ3
.
「なるほど〜、探偵さんでしたか！」
「えぇ、まあ」
わざとらしくトーンを上げて相槌を打つと、安室さんは眉を下げて笑った。
ちょっと失礼、と私に断りを入れて車から降りる。
耳に付けていたのであろうイヤホンに触れると、小さな声で「風見、対象を保護した」と言った。
だが、安室さんの連絡に返事は来ず。
眉を
連絡がつかないのは当たり前だ。
彼の部下達はこの世界に居ないのだから。
私は横目にその光景を盗み見ながら、スマホに触れる。ロックを解除して表示されるのは、授業中に見ていたコナンの漫画で。
「……嘘でしょ」
この夢のような話を現実だと裏付けるような、画面の中のモノ。
色んな巻数のコミックをタップして、スクロールしても居ないのだ。
安室透と、江戸川コナンが。
表紙は背景だけしか描かれていない。
背表紙にも居ない。
と、言うことはだ。
この世界に逆トリップしてきたのは安室さんだけではない。
あの、小さな名探偵も来てしまっているのだ。
「あ、安室さん！！」
私は慌てて、車の外の彼を呼ぶ。
私の様子にただならぬ事態を感じたのか、慌てて扉をあけて「どうかしましたか」と問うた。
「あの……今日はおひとりで？」
「え？えぇ……一人ですが」
そう答える様子に、嘘をついているような感じはない。一応、コナンくんとは別行動をしていたのか。
なんにせよ、この人が街を
安室透という男は、100億円の男と呼ばれるほどの人間なのだ。
居ると分かれば、この国が混乱状況に陥ることは目に見えている。
そんな事になってしまっては取り返しがつかない。
「こんな所で話すのもなんですし、私の家で話しませんか？」
私に残された選択はただひとつ。
この男を匿うことだろう。
その言葉を聞くと安室さんは、何かを考えてから
「では、お言葉に甘えて」
と微笑んだ。
シートベルトを締めると、車が進む。
隣を向くと、綺麗な横顔がある。
あぁ〜〜幸せだ、全国の安室の女の頂点に立った気分だ。
こんな状況でも脳内お花畑である。
オタクってほんとに幸せな生き物だと思った瞬間だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天桜＊(プロフ) - キリさん» はじめまして！コメントありがとうございます！！そうなんですか！嬉しいです〜！これから続編なのでそちらもよろしくお願いします！ (2019年7月13日 18時) (
レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
キリ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて一気に読んでしまいました！これからも応援しています！ (2019年7月13日 17時) (レス) id: c2c9e9fdb1 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - 結さん» コメントありがとうございます！そういう事です〜！！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 質問なんですけど、これ目暮警部もトリップしてるってことですか？ (2019年7月8日 12時) (レス) id: f755b3d80f (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます！私もそれを狙っていたので喜んでいただけて良かったです〜！！頑張ります！！ (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
