-S- loving you.Ⅱ (ページ18)

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68. ページ18

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「神宮寺さん、」

「…なんだ？」

「…どんなに憎くても、殺したくても…あんなこと、するべきじゃなかった…」

「…」

「そしたら俺は…Aとずっと一緒にいられたんですよね…」

…もう、
そこに殺人鬼の影はありませんでした

ただ1人の、愛する人を想う
純粋で、真っ直ぐな青年でした

「なあ、平野。説教じみた話になるから、
先に謝っておくよ。
…阿修羅も、キリストも、人を罪から守ろうとしてるんだ。…なんでだと思う？」

「…さあ」

「俺は、こう思うね…自分の罪を知ることが、一番苦しいものなんだよ。
死んだって地獄に落ちやしない。
ましてや、天国にも行けない。

そこにあんのは、無だ…」

「それで…？」

「…自分の中に罪を認めて、それを悔いたとき、本当の地獄に落ちる。
…お前は、人を殺すべきじゃなかった。
お前がした事はただ形式的に復讐をしただけだ…

でも、今のお前はこんなに苦しんでる…本当のことをわかってやれなくて、ごめんな…」

「…もう、いいんです…俺の過ちだから…謝らないでくださいよ」

すべてを受け入れている表情に、
ひどく胸を打たれました

「神宮寺さんの言う通りです。
俺は、復讐者なんかじゃ、ないんです

…俺の…一番の罪、は、…」

そこで一度、黙り込んだあいつを不思議に思い、見つめました

「初めてAと会った時…怯えるAに、首輪をかけたことです...」

「…首輪？」

「逃げないように、首輪をかけたんです。
俺はあの時、復讐者じゃなくなった。
あの時からただの犯罪者になったんです…

Aが目の前で殴られているのを見ても、
助けようとしなかった…

自分は、自分が一番なりたくない人間になってたんです。

人の痛みに鈍くなって、
一番大切な人を傷つけた…」

「…お前、、全然彼女を断ち切ってなんかないじゃないか」

「......出来ませんよ…断ち切るなんて…」

悲しげに揺れるあいつの瞳が、今でも脳裏に浮かびます

「…Aのことが、どうしようもないくらい……好きなんです。」

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