-S- loving you. (ページ8)

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2章銀を染めるその色は

＊＊＊

「ショウ、来い。時間だ」

時計の針が10を指す
時刻は夜の10時

この時間は私にとって地獄だ

ここに監禁されて2週間

いつもの賭けが始まる

先に1から6までの好きな数を言ってから、サイコロを振る
当てた人が、翌朝まで私を自由に扱える

この賭けが始まってから
私の身体は痣だらけ

私はもう"私"がわからない

もう、逃げるという考えもない
ただ人形のように考えることをやめた

何も感じないようになりたい
痛みも恐怖も

「じゃあ俺は3」

「エヌまた3かよもうそれ聞き飽きたぜ…じゃあ俺は～4」

「…くだらない」

「そういやショウだけだな、まだ賭け勝ってねぇの」

「じゃあ今回だけ残りの数字お前にしてやるよ。エックス早く振れ」

エックスの手からサイコロが飛び出す

「お、何が出たかな～………

…1だ、ショウが初当たりだな」

「ちっ、つまんね～おいエックス寝るぞ、邪魔しちゃ悪いしな」

バタンという音とともに古びたこの部屋が揺れた

「…俺達も寝るぞ来い」

強引に腕を引き、
ショウの部屋に連れて行かれる

部屋に入るとそのまま、私をベッドに放った

途端に怖くなって、
目を瞑る

けれどいつまで経っても、私が痛みを感じることはなくて、罵声を浴びせられることもない

それどころか、ショウはベッドに潜り込んで私に背を向けていた

「…どうした、？」

どうしてこの人は何もしないんだろう

『…………あの』

「…ん？」

『……どうして、あなたは…何も…』

「…どうして何ももしないかって？」

こくん、と頷く

「じゃあ逆に聞くけど
お前は殴られたいん？それとも触られたい？」

そう聞かれて何も言えなくなる

「…違うだろ？
そんな女どうこうするつもりはない」

あぁ、そうだった、それがマトモな考えだった

なんだか救われた気がして
頬に熱いものが流れた

『……っ…ぅ…』

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