-S- loving you. (ページ48)

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48. ページ48

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やめて…置いて行かないで

『待っ…て…いや…』

「ん？西野さん、どうしたの…っ」

『嫌！待って、、！』

追いかけようとして、
女性警官に抑えられる

どうして？

逃げたらいいじゃない
その手を振り払って、一緒に

ずっと一緒にいるんじゃないの？

…もう、どうしようもないの？

私達は一緒にいることすら叶わない

そっか、これが私の罰なんだ

待ってくれている人達を裏切った私と、
四人もの命を奪った、彼

私達への、罰

外へ出ると、彼はもうパトカーに乗り込もうとしていた

『紫耀……っ』

また目が合う
私を優しく見つめたかと思うと、
そっと目を閉じて、開く

そして、私を睨みつけて、冷たく言い放った

「………ほんと、馬鹿な女…」

いらない、そんな優しい嘘なんか、

…いらない

「平野、お前、戯れ言はそこまでだ」

警官に押され、パトカーの中に入った彼を呆然と見つめる私

とめどなく涙が溢れる

女性警官が、泣いている私の肩をしっかり掴んで離さないのがもどかしい

そのまま、パトカーは行ってしまった

「さ、私達も行きましょう。」

背中をそっと擦られた

「何か持っていくものがあったら、
持ってきなさい。ゆっくりでいいから…歩ける？」

『……は、い…』

もう一度、部屋に入ると、
さっきまでここで彼といたはずの空間が広がる

寝室の壁にかかっていた
彼のグレーのパーカー

それを羽織ると、
紫耀の匂いがして、また涙が止まらなくなった

『……っ…やだ…やだよ、紫耀…』

紫耀の優しい匂いに、苦しくなる

怖い

先が真っ暗で見えない

パトカーまでゆっくり戻ると、
女性警官が中に入ってと促す

「もう一度確認させて。
あなたは、西野Aさんね？」

『…はい…』

「よかった。無事で…もう安心してね」

…安心…
安心していいのは、彼がいないからなのかな

そうだとしたら、この人は何もわかっていない
彼がいなきゃ、私は安心出来ないのに

「じゃ、行きましょうか
とりあえず、病院」

静かに、パトカーは走りだした

山道でガタガタ揺れる振動が、憔悴しきった体に響く
視界が、ぐらりと揺れる

窓の外は、朝日がキラキラ輝いている

あぁ、あの国語教師が言っていたことは本当なんだと、
今更ながらに実感した

なんて虚しい
なんて儚い

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