-S- loving you. (ページ38)

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38. ページ38

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「この時代に連れ子結婚なんてよくあることですよね…
上手く関係が築けなかったんでしょうか…」

手が小刻みに震えだした
目の前の画面に、目が離せなくなる

「平野容疑者は

愛子さんがずっと本当の母親だと思っていたのに、

何らかの形で自分が父親の連れ子だったということを知ったんだと思いますね」

アナウンサーの声に力が篭る

「そうかもしれないですね…
裏切られたという気持ちや不安が募ったんじゃないでしょうか？」

『…っ…』

今まで知らずに過ごしてきて、
母親だと思って信頼していた人とは全くの他人で…

それを知った時、
またその過程で何かあったんだろうか

殺人にまで至る、何かが

私には重すぎるこの事実に、
息苦しくなる

見ていられなくて、テレビの電源を消した

『…は…ぁ…っ…』

体中にドロドロとした何かが溜まっているような不快感に襲われる

第三者の私は、彼の受けたショックを、とてもじゃないけど想像できない。

落ち着いたところで、
再びリモコンに手を伸ばした

コメンテーター達は事実かどうかわからないことを永遠に語っている

「平野容疑者の本当の母親は今何をされているんでしょうね、この事実を知ってショックなんじゃないでしょうか…」

どれが真実なんだろう

「まあどんな理由があろうとも、人の命を、2人も奪ったんだ、許されるわけがない。なんて奴だ」

「本当に…こんな人が未だに捕まっていないなんて、怖いですね…」

悔しい

悲しい

彼のことを…
紫耀のことを、何も知らないくせに

彼等が言っていることは、
確かに正論なのだけれど、

正論だからこそ、悔しかった

.