-S- loving you. (ページ35)

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6章過ちと真実

＊＊＊

ぷつん、とテレビの電源が消えた

「つまんね…」

…どうやら気に召す番組がなかったようで、擦り切れた畳にごろんと寝転がる彼

横になっている彼の隣にそっと腰を降ろす

もう秋も深まってきた

誘拐されてから、半年が経とうとしている

最近、彼は髪の毛を染めて
綺麗だったブロンドから茶髪になった

カラーでかなり傷むはずなのに、
彼の髪の毛は変わらずサラサラで綺麗

撫でるようにその髪に触れると、軽く目を開けて私を確認するように見ると再び閉じられる瞳

撫でてと言わんばかりに私の方に体を寄せてくる

「…もう少ししたらちょっと出かけてくる」

『え…でも、もう夜遅いよ…？危ないよ…』

私が制すると、切れ長の目が睨む

「…仮にもお前は俺に"誘拐されてる"んだからいちいち指図すんなよ」

ぶっきらぼうに言い放たれた言葉は、どこか一本調子だった

『…ごめんなさい…私…』

謝ると、
彼が起き上がって、壁にもたれ掛かった

片手で自分の髪をぐしゃっと掻くと、小さくため息を零す

「…いや、ごめん、俺がどうかしてた」

やりきれない感情をこらえるように、下唇を噛み締める

「最近さ、ふと思うんだ…」

『何を…？』

「…何があっても、
人を殺していいはずないって…どんなに憎くても」

虚ろぎみに私を見つめてくる瞳から逸らさせなくなる

今…紫耀は悲しいのかな
だとしたら私の心も苦しくなる

彼に何をしてあげられる？

「Aが、いるからだよ」

『…私？』

「うん、…こんな思いを抱くのも、全部、Aがいるから」

小さな部屋の中で
真っ直ぐ伸びる彼の低い声は

優しさと、どこか切なさを感じた

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