-S- loving you. (ページ4)

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「おいエヌ、早く走らせろ！」

飛び交う怒声で、
だんだんと意識が戻ってきた。

「わかってるよ！運転すんのは俺なんだから黙ってろよな！
少なくとも2時間はかかるだろ！」

「あ、起きたぞ」

そうだ、私、こいつらに…

起き上がろうとしても、
手が縄で縛られていて身動きがとれない。

「残念だったなぁ～捕まっちゃったね～」

さっきエヌと呼ばれていた運転席の男がミラーごしにこちらを見てくる

にたあ、と笑うその表情に、言いようのない嫌悪感を抱く

怖い
気持ち悪い
虫酸が走る

「大人しくしてろよ？
まぁそんなんじゃ声も出せないだろうけどな」

隣に座っていた男が言う

「…おいおい、エックス、泣いてんじゃねーかよ。女泣かすなんてサイテー野郎だな
…ったく、ショウになんて言い訳するつもりだよ」

ただただこの状況が怖くて、
知らないうちに涙が溢れた

「うるせぇな！てめぇだって共犯だろうが」

ーーー
ーー
ー

車が停まったのはそれから随分あとのことだったと思う

エヌと、エックスと呼ばれていた男たちは一旦車を降りていった

あたりは森で、
視界には古ぼけたアパート

私は何をするでもなく、
じっとうずくまった。

開いたままのドアの向こうから声がする。

言い争うような声に、
また恐怖を感じて震える。

「…お前大丈夫か」

突然聞こえたその声に、
驚いて肩をすくめた

先ほどの2人とは違う

端整な顔立ちの男が私のいる後部座席を覗きこんだ

うわあ、かっこいい、整った顔に
ブロンドの髪の毛、あの2人よりも一回り若い

そして、

…驚くほど冷たい眼をしている

「…降りろ」

．