-S- loving you. (ページ26)

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26. ページ26

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今言わなきゃ、
私はきっと後悔する

「やめろ、……」

さっきよりも小さくなった彼の声が、かすかに震えている

しばらくそのままお互いに沈黙が流れる

喉の奥に
突っかえているこの想いを言い出せずに、

苦しくて、泣きそうだった

『………私、紫耀さんが、好き。

…好きなの…』

ぐっと、ハンドルをまた握りしめて
ゆっくり、彼の顔があがる

「……お前…」

車内の静寂の中、
私の言葉はぽつりと落ちて、消えていく

すべて捨てても、私は彼といたい

『…私帰らない』

「…いい、もういい。

お前を送るのはここまでにする、あとは歩いて帰れ」

『嫌…』

「嫌なら、

…俺はここで、お前を、殺す」

彼の手は、ジーンズのポケットへ伸びる

「殺されたくなかったら
今のうちに行けよ…」

怖かった
でも、それでも私は逃げたくない

だったら…

『……殺してよ』

「…あ？…」

『殺して』

彼のいない世界を生きるなら

いっそ、彼が私の世界にいる内に、終わりにしてほしい

おかしいくらいに
私は彼が必要だった

『ショウさんの手で…殺してよ…』

真っ直ぐ彼の瞳を見つめて訴える

まさか彼を好きになるなんて、思ってもいなかった
ましてや好きになっては、いけない相手なのに

じりじりと、私と彼の距離は縮まる

「……なら…死ね」

冷たい瞳が私を鋭く捉える

でも逸らさない
最期まで焼き付けたい

彼が、その銀をかかげる

私めがけて、振り下ろされる

鈍く光ってきっと赤く染めるだろう

助手席のシートが、はずんだような気がした

もう、おしまいだ

彼の手で終わらせてくれるなら、

もうこの世に悔いなんて

ない

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