-S- loving you. (ページ21)

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21. ページ21

＊＊＊

「…どうしたんだよ」

『…ショウさん、
じゃあ…じゃあ私も…くだらない…？ショウさんにとって、私もくだらないんだ』

「…お前は、」

『いや、いいんです…そうですよね…』

こんなこと、言うつもりなんてなかったのに
尋ねなくても答えなんてわかってる

私は、道具でしかない

なのに彼が1度も私を道具にしないから、私って一体何なんだろうと思ってしまう

彼に…必要とされたいなんて思ってる

「…お前は、あいつらの、そして俺の欲求を満たすだけの道具だった。それ以外の何にでもないって、最初に言ったろ」

彼は私に向き合って、
私の首に右手をかけた

…その手にはまったく力が入っていない

『じゃあどうして、どうして私に、何もしないんですか』

…道具は、使われないと意味を持たないのに

欲求を満たす道具と言っているのに、彼は1度も道具として扱わない

矛盾している

「…俺は、無理矢理すんのは好きじゃない。
…それとも嫌じゃないん？？…笑わせんな…」

それは、合意の上、と言っているんだろうか

私は、ただ私を必要としてほしいだけ
ここに、私の存在する意味がほしいだけなの

『…っ…ば、いい…』

ぽろぽろと、涙と一緒に言葉が出てくる

『笑えば…いい』

こんなことを思っている私を、
心の底から笑えばいいのに

その方が何倍も楽なのに

その瞬間、息が出来なくなる

唇に触れる冷たくて、柔らかい感触
…優しい口付けに、時間が止まったような錯覚に陥る

…神様、どうか赦してください

私は、彼ならいいと思ってしまった

彼は犯罪者

彼は殺人鬼

でも、もうそんなの関係ないの

あの日抱きしめられた温もりを思い出してまた触れたいと思っていた彼の熱に、また触れられた

彼の両手が私の頬を包んで

何度も、何度も

角度を変えながら重ねられる唇

その手がその唇がとても優しいから
どうしようもない愛しさと切ない思いでいっぱいになって、

今私は、限りない、"生"を、

実感した

.

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