-S- loving you. (ページ14)

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14. ページ14

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「…気がついた？」

『………ん…ショウ…さん…？』

次に目を開けた時、エンジンの音がしてここが車の中だということに気がついた

「横のレバーをあげろ、起き上がる」

私は、倒された助手席に寝かされていた
言われた通りにシートを起こすと

まだ少しだけ視界がぐらりとして
シートにもたれかかる
心臓はどくどくなって動悸がする

「…これから住む場所を変える」

『……住む場所？』

彼の口が、弧を描いて不敵に笑う

「…腐敗臭のするところで生活したくないやろ？」

…夢じゃなかったんだ

彼は確かに、あの2人を殺した
なのに今、平然としている

「怖い？」

私はその問いに、頷くことも、
左右に首を振ることもできない

「正直に言えばいい。お前のこと、殺すつもりはない」

『…………怖い』

「…俺が嫌い？」

彼は怖い

だけど、頼っている

嫌いかどうかなんて、わからないけれど、
私はこの人がいなければ、ここにはいないはず

『……嫌いじゃ、ない…』

「嘘は嫌い」

『すごく、頼ってる………』

きっと私は知っていた
彼は私のことを、本当に殺しはしない筈だと、心のどこかで思っていた

「…頼ってる、か…
お前、誘拐されてる身やで」

窓の外を見ると、相変わらずの山道だった
日はだいぶ傾き、あたりは薄暗かった

私が寝ている間に随分と長く走っていたのかもしれない

「…着いた。降りろ」

促されるまま、車から降りた

痛む身体を、彼がそっと支えてくれた

「ここが新しい家。
…前よりはいいやろ」

ひっそりと佇む小さな一軒家…と言っていいのか…小屋のようだけれど、2人が住むには十分な広さだった

壁にまとわりつくツタの葉がどこか不気味な雰囲気

「風呂もあるし近くに川もある、何かと役に立つ」

扉を開けると、錆びれた金具が、
ぎいと、小さく鳴る

何かが始まるような、

そんな予感がした

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2章銀を染めるその色は完