-S- loving you. (ページ13)

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13. ページ13

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ぼんやりとした視界の中、

誘拐されたあの日のことを思い出していた

"「A、最近物騒だから学校終わったら真っ直ぐ帰って来なさいね」"

"「晩ごはんはあなたの好きな生姜焼きだからね～」"

ごめんなさいお母さん
寄り道なんてしないで真っ直ぐ帰るべきだったね
親より先に死ぬなんて、私、親不孝者だね

首にかけられた手に、
だんだんと力が入ってくる

息が出来なくて苦しい

だけどもう、何にも感じないの………

「お前ら…」

その声に、消えかけていた意識が少しずつ戻ってきた

ショウだ

彼はジーンズのポケットに手を突っ込んだ

私は知ってる

そこに入っているのは

あの甘酸っぱいレモンの飴じゃ、ない

．

視界で、真っ赤な何かが飛散する

同時に、私の隣にドサッと音をたてて倒れ込むソレは血に濡れ、細くなった息で浅く呼吸をするエックスの姿

見たくないものを見た

「…殺すなって、言ったやろ…」

冷たい彼の眼差しは、怒りと憎しみに満ちていた

彼の手に握られた銀色を染める、赤

まだ完全に息絶えていないエックスとエヌの、断末魔の叫びが響く

人が殺されるところを見てしまった

ぐるぐると歪みだす視界
キーンの耳鳴りがする

血の匂いがして全身の力が抜ける感覚を感じながら、

私はとうとう、

意識を手放した

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