-S- loving you. (ページ2)

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『…っセーフ…』

時刻は8時27分

30分の予鈴ギリギリ
何とか間に合った...
教室に入った時、クラスメイトたちは席について談笑していた

担任はどうやらまだ来ていないらしい。
ほっと胸をなでおろして、窓際の自分の席へ行く。

「あっ、A！おはよう。ギリギリセーフ」

『おはよう紗夏。』

「A、テスト近いしさ、明日どこかで一緒に勉強しない？…数学教えてほしくて…」

『いいね、やろう。私も英語教えてよ』

ちょうど、担任が入ってきて話が遮られてしまった。

あぁ、今日もすごく退屈…

ふと窓から見た青空が綺麗だと思った。
そんなこと、いつもは思わないのに

"きみの命はなんてくだらない"

なんだか青空にそう言われたような気がして、思わず目を背けた。

…私はいつも、何かになりたかった

別に、崇拝されるような偉大な人物にはなろうとは思わないけど

ただひとつだけでいい
私がいなければ回らないような世界があればいいな…って

心の奥底にある、本当の自分を認めてほしい。
それを表に出すのが、弱い私には恐くて出来ないっていうところまで、わかってほしい
全く都合のいい話だということは自分がよくわかってる

授業中もこんなことを考えて
今日も1日を無駄にしてしまったような気がした

帰りに、紗夏に一緒に帰ろうと誘われたけれど、
今日は1人で帰りたい気分だったから断った

海沿いの道に差しかかると、
夕日が海を橙色に染めている。

浜辺に止めてある白いワゴン車が、それに映えている。

もっと夕焼けを近くで見たくて、
浜辺へ掛け降りる

そして浜辺に仰向けになって寝転がった

私を縛る制服なんて、
汚れてしまえばいい

広い海の前、
何かに縛られた自分の心が少し、ラクになった気がした

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