～私の知らない過去～【ＦＦ編】第４幕 (ページ24)

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春奈「お兄ちゃん！何をこそこそして……」

春奈が見つけたのは、路上の電柱に隠れた鬼道の姿だった。

鬼道「今のオレには、あいつらが眩しすぎるんだよ……」

鬼道の口から出た希望無い言葉。

その言葉の意味を、春奈は理解していた。

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練習終了後、春奈と鬼道は河川敷に居た。

もう時刻は夕方だった。

春奈「聞いたよ……世宇子中戦のこと……。
　残念だったね……」

鬼道「残念……？

　残念なんてものじゃないっ……」

半ば八つ当たり気味に、鬼道は答える。

鬼道「オレの目の前で……仲間があんなことに……
　こんな悔しいことがあるか……!!

　オレはっ……」

ｷﾞｭﾝｯｯ!!

その時、炎をまとったボールが鬼道目掛けて飛んできた。

鬼道「っ……!!!」

鬼道はすぐに反応し、ボールを蹴り返した。

鬼道「こんなボールを蹴る事ができるやつは……」

跳ね返ったボールの先には、豪炎寺が立っていた。

鬼道「豪炎寺か……!!」

豪炎寺は春奈と鬼道の方へ向かってくる。

春奈「豪炎寺先輩！
　お兄ちゃんは別にスパイをしてたわけじゃないんです！

　本当です！」

危険な匂いを察知したのか、春奈が豪炎寺を止める。

しかし豪炎寺は、険しい表情を変えなかった。

豪炎寺「お兄ちゃん……か。」

豪炎寺は小声でそう呟くと……

豪炎寺「……来い。」

鬼道に下のグラウンドに来ることを促した。

鬼道は拒むことも無く、階段を降りていった。

・

豪炎寺と鬼道はパスをし始めた。

しかしそれは、パス練習とは言えないほどの緊迫したもので……

ボールの威力も、互いにシュート並であった。

豪炎寺「鬼道！そんなに悔しいか！」

鬼道「悔しいさ！
　世宇子中を、オレは倒したい!!!!」

手加減することなく、まるでボールに言葉を乗せたようなパス。

豪炎寺「だったらやれよ!!!」

鬼道「無理だ!!!

　帝国はフットボールフロンティアから敗退した……!!」

豪炎寺「自分から負けを認めるのか!!!」

豪炎寺は返ってきたボールを、そのままファイアトルネードにして蹴り返す。

シュートは鬼道の横を通り過ぎ、丘に激突。

そしてボールは破裂してしまった。

豪炎寺「１つだけ方法がある。
　お前は、円堂を正面からしか見たことないだろ？

　あいつに、背中を任せる気はないか？」