～私の知らない過去～【ＦＦ編】第４幕 (ページ15)

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春奈「お兄ちゃん……うちとの試合で、怪我したじゃないですか。

　相手はノーマークの学校だったから、大事をとって控えに回ってたんです。
　そしたら……相手が圧倒的で……

　お兄ちゃんが出ようとした時には……もう……」

春奈ちゃんはそれ以上、言葉を続けなかった。

私達にも沈黙が流れる。

円堂「っ……!!!!」

すると、円堂が突然施設を飛び出していった。

A「円堂！」

・

・

―帝国学園―

円堂「はあっ……はあっ……」

円堂は帝国学園を走っていた。

真っ直ぐ走ると、帝国学園サッカー部のグラウンドが見えた。

円堂「鬼道!!!!」

そのグラウンドの中心には、鬼道がポツンと立っていた。

鬼道「……よお、円堂。
　笑いに来たのか？」

鬼道は円堂の方を見て言葉を発した。

それは、あの鬼道かと疑うくらい、弱々しい言葉だった。

円堂も思わず呆気にとられてしまう。

円堂「んなわけねえだろ!!!」

それを否定し、円堂はボールを構えた。

円堂「鬼道!!!!」

円堂は鬼道に向かってボールを蹴った。

ﾄﾞｻｯ……

だが、鬼道はピクリとも動かないまま、ボールに当たり倒れてしまった。

円堂「鬼道……

　どうした!!? 蹴り返せよ!!!」

鬼道はゆっくり立ち上がり、ボールを掴んだ。

鬼道「くっ……」

しかし鬼道は歯を食いしばりながら、円堂へボールを転がした。

円堂「…………」

鬼道「40年間無敗の帝国学園………
　オレ達は、その伝説を終わらせたんだ……

　ただひたすら、勝つことだけを考えて戦い続けてきた……
　それなのに……

　ボールに触れる前に、試合が終わってしまっていたんだ……!!」

円堂「っ……!!!」

鬼道「今までずっと、
　寝ても覚めてもサッカーの事しか考えていなかった……

　それが……こんな形で終わるとはな……

　オレのサッカーは終わったんだ……」

円堂「そんな事ない!!!

　お前が見捨てない限り、サッカーはお前のものだ!!!」

鬼道「っ……」

円堂「鬼道!!!」

円堂はもう一度、鬼道にボールを投げた。

鬼道はそれに素早く反応して蹴り返した。

円堂「な？まだ出来るじゃないか！」

鬼道「…………」

A「あ！やっぱここに居た！」

円堂「A？」

鬼道「南野……？」