～私の知らない過去～【ＦＦ編】第４幕 (ページ13)

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―病院―

円堂「よ！」

夏未「っ……」

円堂と秋は、理事長が入院する病院へ足を運んだ。

秋「お父さん……大丈夫？」

夏未「……心配ないわ。」

秋「良かった……!!」

夏未「っ！
　円堂君、その手のテーピングは……？」

円堂「これ？今日の試合でちょっとね。

　だけど勝ったぜ!!!
　一回戦突破だ!!!」

夏未「ほんと！？やったわね！
　ならばそれは、名誉の負傷といったところかしら？」

円堂「大したことないよ。
　２、３日したら動かせるってよ。」

夏未「良かったわ。
　我がチームのキーパーは、あなた１人なんですからね。

　“無事これ名馬”ということわざもあることだし。」

円堂「名馬？

　だれが馬だよ!!!!」←

夏未「……;;
　そういう意味じゃありません。」

円堂「でも馬って言っただろ!!! 言っただろ!!!?」←

夏未「馬に例えてるだけです！」

円堂「ほらやっぱり馬だと思ってんじゃん!!!」←

夏未「分からない人ね！」

円堂「分かってるよ!!!」←

秋「ふふっ……仲が良いのか悪いのか……」

夏未「まったくあなたは……下に鹿の字が付く馬だわね！」←

円堂「えっ……下に鹿？
　下に鹿………それ何て読むんだよ!!?」←

夏未「分からなくて結構よ！
　“馬鹿”!!!」

・

・

・

―鬼道邸―

鬼道「…………」

鬼道は古いサッカー雑誌を手にしていた。

そして、一枚一枚ゆっくりめくっていく。

鬼道「っ………」

すると、鬼道はあるページで手をとめた。

雑誌の24ページ目。

大きく取り上げられている選手がいた。

鬼道「……」

【期待の新生現る】

【次々繰り出される多彩な必殺技】

【体を張った強力プレー】

雑誌のあおり文句には、そんな事が書かれていた。

だが、名前が分からない。

名字と名前の部分は、何故か黒いペンで塗りつぶされていた。

【防御不可能！？＿＿選手のダッシュシャッフル！】

鬼道「やはり……
　どこかで見覚えがあったのだが……

　こんな身近にあったとは……」

鬼道は雑誌を机に戻した。

鬼道(しかし、単なる偶然かもな。
　それか、南野自身がこの選手を知っているのかもしれない。
　
　きっと……そうだ……

　きっとな……)

それが後に大きな過去に繋がる事を、鬼道は知る由もなかった。