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潮風と一緒に、穏やかに流れるように
優太の声が聞こえてくる。
岸「………何で俺んちの近くにいたの…?」
・
私は足をブラブラと自由にさせながら
素直に言った。
『………会いに来たんだよ。優太に。』
岸「…………俺…に?」
『…………何で…教えてくれなかったの。引っ越すって。』
私はゆっくり、彼に視線を向ける。
優太は揺らぐ瞳を私ではなく、
広い………青い…………
どこまでも続く海に向けた。
・
岸「………なんで…だろうね…」
『………妹ちゃんから聞いた。
優太だけ、この町離れるって。
………本当のこと、教えてよ。
引っ越す、理由は何なのか。』
時間は迫って来ている。
決して待ってはくれない。
そう思っていたら、ヅカヅカと彼に質問してしまっていた。
『………言いたくない?』
岸「…………うん。」
『じゃあ……聞くのやめる。』
岸「………うん」
言葉に詰まって、ただ海を眺める時間が始まる。
すぐ隣にいる優太が、明日には遠くに引っ越してしまうんだ……そう思うと
すごく………すごく……
なんとも言えない気持ちが胸を埋め尽くしていくんだ。
・
『………連絡先、交換しない?』
岸「………しない。」
私は出そうとしたスマホを静かにまたポケットに戻す。
別に断られたことにショックは受けてない。
ただ………優太なら、今の雰囲気で交換するだけ、交換してくれる……と思った。
“しない”というこの選択肢は……
彼の中で、ここの町とは縁を切るということなのか……
私と縁を切るということなのか……
人生と縁を切るということなのか……
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彼の横顔から読み取れるものは
何一つなかった。
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スマイル(プロフ) - Fukaさん» どういたしまして!次のお話書くときに、ご意見参考にさせてもらいますね(^-^)応援ありがとうございます! (2020年8月16日 20時) (レス) id: fa4e9d81aa (このIDを非表示/違反報告)
Fuka - 花氷の続編ありがとうございました♪これからもおうえんしてます! 次のお話でも一般人との切ない恋が見たいです\`о´/これからも頑張ってください! (2020年8月13日 23時) (レス) id: fcda6fd5c8 (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - なあこさん» ありがとうございます!!面白かったと言っていただけて、嬉しいです♪ (2020年8月8日 20時) (レス) id: fa4e9d81aa (このIDを非表示/違反報告)
なあこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!面白かったです! (2020年8月8日 17時) (レス) id: 0e3b0babab (このIDを非表示/違反報告)
スマイル(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ありがとうございます!!日々の楽しみにしていただけて、すごく嬉しかったです♪コメント、とても励みになりました!ありがとうございました(^-^) (2020年8月8日 17時) (レス) id: fa4e9d81aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマイル | 作成日時:2020年6月21日 18時