やわらかい風が吹いたら3-sho hirano-

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…





「…凌さん」






久しぶりの再会に言葉に詰まる







…


…ぷっ



「？！」



り「何っつー顔してんだよ、久々会えたと思えば…

気分はどう？」



笑いながら彼が尋ねる




「…びっくりしすぎて、気分悪いのどっかいっちゃった」



皮肉交じりに言えば



"そ"
"ま、そりゃそっか"



り「改めまして、今回カメラマンで入らせていただきます。佐藤凌です。よろしく」








……


さ「Aちゃん、ごめんね俺が迎えいけなく

て…体は大丈夫？」



鏡の中の私に向かって謝る



「謝らないでください、いつもわざわざ迎えにきて

いただいてるだけでも恐縮なのに…まぁ、ある意味

びっくりしましたけど」



苦笑いすれば



さ「それもゴメン、舞に行かせようと思ったらもう

キーなくなってんだもん」



さ「…彼氏？いるみたいだからさ、もう大丈夫かな

って。特に引き返させなかったんだ」




また申し訳無さそうな顔で




…

さ「凌にもちゃんと言っといたからさ、Aち

ゃん男できたみたいだからって」




り「そうそう。俺は気にしねーし、互い仕事がんばろーぜ」




さ「おまえ急に入ってくんなよ」




凌さんが背後から顔を出す




り「今回Aにとっても顔売るチャンスでしょ



東京girl' collection、全モデルの憧れじゃん」




「…」




さ「ま、その中のヘアショーだけどさ、俺らも全力

で頑張るから」



"だからおまえらも色々ごったがえしてないで仕事し

ろよー"





「はい笑」





……




自分に驚いた





あれ程好きだった





愛した人






"だった"






と




きちんと思える




その名前に



声に




シャッターを切る音に




カメラ越しに見つめる眼差しに




温度を感じないのは





新しく知った温もりのせいー

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