【ナンバカ】愛を知らない少女の告げる想い (ページ8)

今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:22,734 hit

おやすみなさい① ― ジューゴside ― ページ8

「この馬鹿野郎がぁ!! 双六おめぇ、何人怪我人増やせば気が済むんでい。次から次へと俺の仕事増やしやがって！五代おめぇも何勝手に一般人連れ出してんだ。何かあったら俺の責任にもなっちまうんだぞ!!」

医務室に訪れた俺達は、翁によって殴られたハジメと大和の姿を見ていた。
マナは別室で神八に治療を受けており、今はここにいない。

「あーあ、見てらんねぇな」
「まぁいつものことだろ」

俺の言葉にウノが軽く言う。だが、その声は真剣みを帯びた。

「そういやジューゴ、あいつらには話したのか？地下で俺に話してくれたエルフって奴のこと」
「いや、まだ話してない。でも近いうちにちゃんと話す」
「まぁあいつらも色々あったからな、今じゃなくてもいいか」

俺達の視線にはロックの持つ大量の薬の箱を見てニコが子供のように欲しがっている姿がある。
あの量、結構あるぞ。まさか全部飲まないよな？と思わず心配になる俺を見てウノは言う。

「で？どうだったんだ？何か見つかったのか？」
「ああ、なんとなくな。あいつは俺の中にいるらしんだわ。そんで俺の身体が欲しいらしい。なんの目的があってどうして俺なのかはわかんねぇけど、ただ俺の中には誰かを殺すことに何の躊躇いもない存在がいる。それだけはわかったんだ」
「なるほどなー。お前がビビッてた相手がお前の中にねぇ…そりゃ探しても見つからねぇわけだ。で、そいつは俺ら(囚人)のこともマナのことも狙ってるって言ってたんだろ？一体何がしてぇんだがわけわかんねぇな」
「ああ…気味が悪ぃ…」

思わず自分の胸元を服の上から掴んだ俺にウノは笑ながら言う。

「でもよ、見えてよかったんじゃねぇの。結果はどうあれお前は一歩進めたんだろ？だったら今はそれでいいじゃねぇか。敵がお前の中にいるならお前がそいつに負けなきゃいい話だろ。現に今回はお前が勝ったからここにいるんだぜ？だから次も大丈夫だって」
「ま…まぁそうだけど…」

うりうりと肘を押し付けてくるウノに俺は何とか返事を返した。
まだ不安が残っていたらしい俺を見てウノは言う。

「でもお前一人じゃなんもできねーから、もし負けそうになったらそん時は俺達に言え。助けてやる。俺達同じ脱獄囚だろ、いつも一緒に潜り抜けてきたじゃねぇか。何があってもぶち破って抜け出せばいい。それがいつも通りの俺達だろ？」
「ああ、そうだな」

その言葉に応えるように、俺は笑顔を浮かべた。