みんな揃って帰るべし!!�� ページ5
その後、三蔵法月の姉にナンパし始めたウノと下着の色を聞き始めたハニーとトロワを悟空さんが成敗されていた。
特にハニーとトロワは頭にたんこぶを作らせた上に土下座させられていた。まぁそれが正しいんだけどね。
騒がしくなりだした周りを見て、私は二人に向き合う。
私の険しい顔を見て、彼女は小さく笑いながら言う。
「……貴女の言いたいことはなんとなくですがわかりますよ。私達を心配しているのでしょう？」
「…そこまでわかってるなら、話が早いよ。あなた達、このままだと死ぬよ」
現に彼女の手から新しい血が流れだしており、すでに身体が崩壊し始めている。
悟空猿鬼は悟空さんとの戦いで恐らく身体はエルフに浸食されつつある。
だが、この二人のことだ。大切なものを守るためなら死さえ厭わない。
「…そうですね。貴女の言う通りです」
「っなら、せめてもう少しだけ生きられるよう手伝わせて。エルフの浸食ももしかしたら私ならどうにかできるかもしれない。だから…」
私の申し出に彼女は首を横に振った。
「いいえ、必要ありません」
「な、なんで…だって、死ぬんだよ…？ あなた達が死ぬ意味なんて、ないんだよ…」
「…貴女は、とても優しいのですね。こんなヒドいことをした私のことを心配してくれるなんて…。もっと早く貴女と出会っていれば、少しは違う未来になったのでしょうか」
「そんなの、ただの結果論だよ。お願い、話を逸らそうとしないで。私はあなた達を助けたいの…」
服の上から自分の胸倉を掴む私に、三蔵法月の姉はそっとまだ血が出ていない手を重ねてきた。
「その気持ちはとても嬉しいです。ですが、その力はどうか彼らのために使ってください。私はもう十分生きました。後悔も未練もありません。お願いです、どうかこのままで」
その言葉が本心だとわかっていても、私は首を横に振る。
嫌だ。そんなの嫌だ。目の前にいるのに、力があるのに、何もできずに死を見逃すなんてできない。
駄々っ子のように首を横に振る私に、悟空猿鬼が口を開いた。
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作者名：いちご | 作成日時：2017年11月30日 17時
