【ナンバカ】愛を知らない少女の告げる想い (ページ25)

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これからよろしく② ページ25

「やっぱり、猿鬼とあの法子さんって人は死んだか…」

医務室の帰り、私は翁先生から彼ら二人は死んだのかと訊いた。
囚人には伝えられていない情報に彼は目を見開いたが、私の知能指数の高さを知っているため特別に教えてくれた。
聞けば五行山にはリャン達と因縁がある囚人もいたらしく、彼は獄中自殺をしたと言う。

その囚人は、恐らく主任達に殺されたのだろう。
何か条件を出して脱獄させたのだろうが、何故彼だったのかは使い勝手がよかったからだろう。
それに裏世界にいたなら、主任達について何か知ってもおかしくない。
だが死んでまったらそんなもの手に入らない。

今回の件で悟空さんと八戒さんは看守長の命令で謹慎処分になったらしい。
本来なら降格かクビになるはずだったが、キジさんと四桜さんがフォローしてくれたためそこまで重い処罰にならなかったそうだ。
今頃彼らは故郷である中国で猿鬼と法子さんの葬式をしているのだろうか。

やはりあの時、無理矢理でも救えばよかったかもしれない。
だけど、二人は自らの意志で私からの救いの手を取らなかった。私にこれから進む道へ行くための後押しをしただけだ。
それが正しい選択なのかは、もう確認することはできない。

あの二人は敵同士だった。だけど、今は同じ志を持った同志だ。
なら、私ができることはあの二人の努力を無駄にしないことだ。
悟空さんの謹慎が明けたら、猿鬼と法子さんについてもっと聞こう。
私を救ってくれた紫苑も二人と同じ志を持っていたのだと伝えたい。

気功に関する知識も経験も欲しい。どんな敵が現れても対処できるほどの強さが欲しい。
大和とのトレーニングの他に5舎の鍛錬にも参加しよう。もっともっと強くなりたい。
そのためにはもっともっと知識が、もっともっと経験が欲しい。

やるべきことは一杯ある。だけどそれは私が進む道なのだと思うと苦ではなかった。
13舎を歩くと、いつも通り脱獄したみんなを見つける。みんなは私に気づくと笑顔を向ける。