【ナンバカ】愛を知らない少女の告げる想い (ページ23)

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愛してる④ ページ23

「お、俺も…マナのことが、好きだ…」

震える声で伝えるジューゴの言葉に、今度は私の目が大きく見開いた。

「正直、恋とかそんなのしたことないし…全然わからないけど、でもお前と一緒にいたい…今いる間だけじゃなくて、出所してもずっといたいって思えるのはお前だけだ…。今はまだ『愛してる』なんて立派なことは言えないけど、いつかちゃんと伝える。だから……って、え？」

ジューゴの目がぎょっと大きくなる。どうしたのかな、と思っていると自分の顔が濡れていることに気づいた。
そっと触れると、濡れている原因は自分の目から溢れ出している涙だと気づくとすぐさまパーカーの袖で拭う。

「ご、ごめん、ちょっと、今は見ないで…」
「え、俺、もしかして変なこと言ったか？」
「ち、違う、これは、その、泣くほど、嬉しかった、から…」

そう、これは嬉し涙だ。人は嬉しさが一定以上を超えると涙を流すと紫苑が言っていた。
それが今のこれだとわかった。ポロポロと零れる涙を必死に拭っていると、ジューゴに手を取られた。

「そんなに強く拭くなよ、目の周り赤いぞ」
「だ、だって…」
「ったく、仕方ねぇな」

私の目についた涙をジューゴの指が掬い取る。触れる指先が温かく、いつの間にか涙は引っ込んでいた。
こつん、と額がジューゴの額と当たる。頬に手を添えられ、無意識にその手を自分の手と重ねる。
彼の瞳が私を愛おし気に見つめてくる。

「…それで、さっきのは俺の返事なんだけど…どう、だった？」
「ジューゴらしいって思ったよ」
「そ、そっか。…えーっと、これから恋人としてよろしくお願いします？」
「ふふっ、何で疑問形なの？」
「う"…なんか、つい…」
「でも、それもジューゴらしいね」
「…そっか」
「うん。こちらこそ、よろしくお願いいします」
「ああ」

言葉が切れ沈黙が落ちるが、それはとても心地よいものだった。
そっと何の前触れもなく、互いの顔が近づき―――唇同士を重ねた。
ほのかに伝わる温かさと柔らかさを感じるも、それは一瞬で離れる。

だけどそれでも心を満たすほどの幸せを感じ、私達は互いの顔を見ながら笑い合った。
ハジメ達が病室を訪れるまで、私達は重ねた手を離さなかった。