【ナンバカ】愛を知らない少女の告げる想い (ページ20)

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愛してる① ページ20

私の告げた言葉にジューゴの目が大きく見開かれた。
すごく驚いてるな、と他人事のように思っていると、ジューゴは一気に顔を赤くした。

「な、お、お前、何言って―――」
「悪いけど、これは嘘でも冗談でもない。私の本当の気持ちだよ」

否定の言葉を紡ぐ前に一刀両断した私に、ジューゴはものすごくわかりやすく動揺していた。
理由を尋ねようとも中々言えず口をパクパクするジューゴの代わりに代弁した。

「もしかして、どうしてジューゴを選んだのか気になる？」
「あ…ああ、そりゃ…だって俺、お前の前じゃすげぇカッコ悪かったじゃねぇか…」
「まぁそうだね。暗いし口下手だし笑うの下手だし、ぐだぐだ悩みやすいし常識知らないし金遣い荒いし人の話聞かないし、足も遅いし体力ないしすぐ溺れるし、字汚いし計算ダメだし本すら読めないし、本当に脱獄しかできないダメ人間だよね、ジューゴは」

私の言葉にグサグサと胸に刺さったのか激しく落ち込むジューゴ。
だけど、私は微笑みながら言う。

「だけど、誰よりも優しいし思いやりもあるし、自分のことで一杯一杯なのにそれでも誰かのこともちゃんと考えてくれる。さっき言ったダメな部分すらフォローできるくらいね」

そう言うとジューゴはまた顔を赤くしてそっぽを向く。
もちろん彼のそういうところに惹かれたのもあるけれど、もう一つ理由がある。

「それとね、ジューゴ。私があなたを愛してる理由はもう一つあるよ。脱獄以外ダメなところも優しいところも全部あなたの魅力だし、私の周りにはあまりいないタイプだったからいつも楽しかった。たとえあなたが周りに『化物』と呼ばれようと、あなたの中にエルフがいても、それでもあなたを愛してるのは……あなたが、『私』を見てくれたから。それがもう一つの理由なんだよ」

どこにいても私を見る人達の目は、皆同じく化物を見る目だった。
『私』という人間を見てくれる人は紫苑だけだった。でも彼女を喪い、再び誰も『私』を見てくれなかった。

だけど、ジューゴは『私』を見てくれた。
ウノ達もちゃんと『私』を見てくれたけれど、その中でもジューゴが『私』を見てくれた。