守る理由�� ― ジューゴside ― ページ19
「……なぁ、どうしてそこまで俺を守ってくれたんだ？」
その質問はマナの顔から消えた。
今の質問はあいつにとって聞いてはいけないものだと気づいたが、それでも俺は訊きたかった。
「俺達、出会ってからそれなりの付き合いだし、色々と知っているところもある。でも、お前がそこまでボロボロになってまでする必要はねぇだろ。俺はお前みたいに頭良くないし、運動も全然ダメだし、脱獄以外何もできない奴なんだ。なのに、どうして俺を守ってくれるんだよ。もしかして、紫苑との約束があったからか？ それなら俺は納得できるけど……」
いつの間にか顔を俯かせたマナを見て、俺は内心焦った。
もしかして言い過ぎたか？ ヤバい、早く謝らなきゃ…。
「あ、その、さっきのは―――」
「たしかに、ジューゴの言う通り私は紫苑の約束があったからあなたを守っていた」
俺の言葉を遮るようにマナは口を開いた。
「愛について全然わからなくて、どこにも主任のせいで壊された人もいなくて、生きるために逃げる日々に正直苦痛だったし、約束を果たすのを諦めようとした時もあった。でもジューゴと会って、ようやく約束が果たせると思うと嬉しくて、それを叶えようとあなたを利用していた。それは認めるよ。だけど、本当は…そうじゃなかった…」
ぎゅっと膝の上に置いてあった手が握られる。
「一緒に脱獄して、日々を過ごしていくうちに…私は、心から純粋にジューゴを守りたいって思えた。泣いて苦しんでいる時、少しでも心が軽くなるように傍にいたいって…そう気づいたから…」
小さく震えるマナの手。それだけであいつの緊張が嫌でも伝わった。
「どうしてそう思えたか、その時の私はわからなかった。色々と考えて、悩んで、ようやくわかったの」
俯いていた顔をあげたマナの顔は、いつも見ているものではなかった。
強く、凛々しく、それでいて儚い印象を与える小さな微笑みを浮かべながら、マナは告げた。
「―――それは、私がジューゴのことを愛してるからだって」
告げられた言葉に、俺は大きく目を見開いた。
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作者名：いちご | 作成日時：2017年11月30日 17時
