【ナンバカ】愛を知らない少女の告げる想い (ページ11)

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勝者① ― No side ― ページ11

「あーあ死んじまったか、馬鹿な女だ。素直に僕らの仲間になっていれば死なずに済んだかもしれないのに。ま、この女の場合元々身体が弱すぎて僕の細胞すら移植することができなかったからどっちにしろ死んでたか」

横にいる法子の死体の傍から離れなかった猿鬼は、目の前に現れたエルフをただ静かに見つめていた。

「どちらにしろ厄介なのがいなくなって僕らはラッキーだけど、お前はそうじゃねぇみてぇだな」

そう言うエルフは猿鬼と同じで左腕がなかった。
エルフは猿鬼の中にいる。その相手の身体が部位欠損してしまったら中にいるエルフにも影響を及ぼすらしい。

「ったく、めちゃくちゃにやってくれたな。てめぇのおかげでこのザマだ、これから僕が使っていくってのに粗末にしやがって。それに今更左腕吹っ飛ばしたところでどうにもならねぇのは知ってるはずだ。お前はもうすぐ死ぬんだから、お前は僕が全部いただく」

ジューゴとぶつけることはできなかったが、彼ら兄弟が馬鹿死合をしてくれたおかげで一気に進行したのだ。
エルフにとってはこれほど嬉しい誤算はない。

「もう自分の感覚がわからなくなってきたんじゃねぇのか？支配される気分はどうだ？ん？」

事実、猿鬼の身体はエルフが侵食している。わざわざ聞かなくてもわかるだろう。

「お前はもう僕のモノだ。そして15番もすぐに僕のモノになる。お前には少し手こずったがアイツはカンタンだ。アイツは僕の思い通りに動いてくれるからな」
「どうだがな」
「あ？」

今まで黙っていた猿鬼の言葉にエルフは眉を顰める。

「15番は『お前とは違う』と言った」
「だからなんだっていうんだ。アイツの意志なんざ関係ねぇ、ただの被検体の戯言を真に受けてんじゃねぇよ」

何を馬鹿げたことを言っているんだ、といわんばかりの反応をする自分をただ静かに睨む猿鬼を見て、エルフは不快な顔をする。

「なんだよ、その目」
「その意味がわからないということは、お前はまだまだ『未完成』だと言うことだ」

その言葉がエルフの逆鱗に触れた。