【ナンバカ】愛を知らない少女は問題囚人 (ページ31)

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主人公のポーカー勝負ページ31

「…で、ハジメにボロ負けして一週間脱獄禁止になったと」
「…ああ…」
「チクショウ!! 何で負けたんだよ!?」

落ち込んだ様子で房に戻されてきたジューゴから話を聞いてると、隣で悔しそうに跪いて畳の上に拳を落とすウノ。
ギャンブルとイカサマに関しては強いウノにとって今回の負けは屈辱だろう。

やれやれと肩を竦めながら本を読んでいると、突然ウノが顔を私の方へ向ける。

「そうだ！マナ、俺とポーカーしようぜ!!」
「はぁ？なんで？」
「もちろんハジメとまた勝負するためだよ！お前に勝てればハジメにも勝てるだろ!?」
「どうしてそうなったのよ…。そもそも私、ポーカーとか興味ないし…」
「はっはーん。さてはお前、俺に負けるのが怖いんだろ？」

そう言われた瞬間、本のページを捲る私の指がピタリと止まる。

「…は？」
「いくら誘っても断るから変だなぁって思ってたけど…なんだよ、そういうことかよ」
「別に私はポーカー弱いって言った覚えないけど」
「じゃあやろうぜ。そういしたらさっきの発言撤回してやる」

目を細めるウノとしばし睨み合うと、私はため息をつきながら本を閉じる。

「…わかった、やってあげる。でも後悔しないでよね」
「おう。ま、俺が負けるとは思ってねぇけどな」

……さて、それはどうだか。

「ロイヤルストレートフラッシュ」
「ファ――――――!!」

20戦目になって出てきた最強の役の登場に悲鳴をあげるウノ。
結果、全戦全勝で私の勝ちだ。

「マナ!! お前、イカサマしただろ!?」
「してないし。それ言うならウノでしょ。よくもまぁあんなにブタを回せるようにしたね」
「なら何で俺が負けたんだよ!?」
「何でって…単に逆算しただけだよ」
「ぎゃ…逆算？」

私の言葉にジューゴがわけわからんという顔をした。

「そのまんまの意味。私に配られた札がブタだらけなら、ウノの手札はいいものであるのは確定している。ならあとは簡単、“頭の中で何千何万もある手を全て逆算し、最適な手を見つけ出す”、私がやったのはそんなことだよ」
「そ、そんなことって…そんなん普通じゃ無理だろ…」
「チャスに十の百二十乗の無量大数以上の局面があると同時に、ポーカーにもそれくらいの手があるってこと。わかったならイカサマ以外にそういう技も究めなさい」
「は…はい…」

そう言うとウノは呆然とした様子で返事を返した。
その日から、13舎の間で『マナとはゲームをするな』という噂がたった。