九十九参上�� ページ29
「ふははははは、流石は南波の看守。よくぞ見破った!!」
私達に殴られたはずの九十九は復活するとすぐにポーズを取る。
結構タフだなこの人。
「オイ、何でコイツを13房にぶち込んだんだ？」
「下手すれば私達よりキャラ濃いよ」
「知らねーよ、上に言え!! いいからお前らは戻ってろ。後は俺がやる」
そう言ってハジメは九十九に近づこうとするが、先にあっちが動いた。
「そうはいくか!! 忍法【マキビシ】!! これで拙者を追ってはこれまい!!」
「「「!!」」」
九十九はドバッとマキビシをばら撒く。思わず驚いた私達だったが、その光景を見て黙った。
理由は簡単だ、マキビシは九十九を中心にした全体にばら撒かれていたから。
「しまったああ!! 自分の周りに撒いてしまったぁあ!!」
「アホかお前!!」
「…はぁ、まったく何をやっているのやら…」
ため息をつきながら私はマキビシの上を歩き九十九に近づく。
その光景を見て九十九はオーバーリアクションを取る。
「マキビシの上を歩くだと!? ま、まさかお主はくの一なのか…!?」
「違う。このブーツの底に鉄板が仕込んであるだけ」
すぐさまネタバレすると、私は片手で九十九の首根っこを掴むとそのまま後ろへ放り投げる。
「グフッ!?」と呻き声をあげながら顔面から地面衝突した九十九を見ながら、私はハジメに提案する。
「ハジメ、九十九は他の房に移動した方がよくない？」
「……そうだな。コイツは11房に移動する」
意外にもあっさりと提案が通り、九十九を連れ出そうとするハジメ。
だけどそれにストップを入れると、私は九十九の耳元に口を寄せると小さく、本人しか聞こえない音量で囁く。
「……ここは意外と居心地がいいから出所までしばらくよろしくね。超人気俳優のカミカゼさん？」
「!!?」
そう言った瞬間、九十九は驚いた表情を見せる。
それに私は小さく笑みを返した後、九十九をハジメに任せてジューゴと一緒に13房に戻った。
「…なぁ、さっき九十九に何て言ったんだ？」
「んー？ 別にー？ これからよろしく的なことを言っただけだよ」
「ふーん…」
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作者名：いちご | 作成日時：2017年9月19日 17時
