【ナンバカ】愛を知らない少女は問題囚人 (ページ26)

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九十九参上① ページ26

「オイ、今日食堂で耳にしたんだが、この１３房に新入りが来るらしいぞ」

ロックが知ってたか？と尋ねるが、私達は知らないというように首を傾げた。

「なにそれマジ？」
「どんな奴？」
「今ハジメが連れてくるらしい」

南波刑務所は私達のような脱獄常習犯や他では扱いが難しい囚人を集めているため、きっとその新入りもそういった類だろう。
そんな話をしていると、ハジメが13房のドアを開いた。

「ホラここだ、入れ」

外にいる新入りらしき黒い影は少しだけ身動ぎをすると、バッと素早く動いた。

「わっ！」
「な…なんだ!?」

ウノとロックの驚く声をあげると、黒い影はしゅたっと俊敏に着地する。

「お初にお目にかかります。拙者は囚人番号『九十九番』、『九十九』。この度13房に入所いたした、どうぞよろしく御願い致す」

『九十九』と名乗った男は黒い全身網タイツの上に紫色の囚人服を身にまとい、額には細い鉢金を着けている。
その姿はまさしく『忍』と言っても過言でもない格好だが…。

「なんだぁ？変な奴だな…」
「そうだねぇ…」

あまりにも衝撃がありすぎて困惑する私とジューゴ。
だが海外組は頬を赤くしながらそわそわし始める。

「オ…オイ、これって…」
「まさか…」
「だ…だよなぁ…」

そう言うや否や、彼らは一気に目を輝かせる。

「「「ジャパニーズNINJA!!」」」
「いかにも、拙者は忍でゴザル」

彼らの言葉に凛として答える九十九。

「うお～～、すっげぇ!! 生NINJAだ、初めて見た!! かっけ──!!」
「本当にいたんだ、ジャパニーズNINJA！」
「やっぱ日本!! 流石日本だ!! NINJA！」

そんな彼の周りを興奮しながらでグルグルと回り始めるウノ達。
「OH！ NINJA！」「本物だぁ！」「COOL！」と叫ぶ彼らの横でジューゴが呆れたように言う。

「バーカ。いるわけねーだろ、忍者なんて」

まぁ江戸時代や鎌倉時代ならいただろうが、情報化社会の現代では忍者はアニメやドラマにしか存在しないものだ。
仮にそうだとしてもただ運動神経がいい忍者マニアだろう。

「つか今時そんなコッテコテの忍者がいるかよ。時代劇かっつの」
「ジャパニーズのクセに否定的だな。夢のない奴」
「ジャパニーズだから否定するんだよ。なぁマナ？」
「あー…まぁそうだね。でも絶対にいないとは言い切れないよ」
「え？」

同意を求めようとこっちに顔を向けるジューゴだが、私の言葉に彼は驚きの声をあげる。