【ナンバカ】愛を知らない少女は問題囚人 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:125,998 hit

食堂の番人① ページ18

「うめぇぇー!! VERY DELICIOUS！」
「相変わらず美味そうに食うよな～」
「ほんとだよね」

お昼時間、私とジューゴとロックは食堂にいた。ウノとニコは先に食べ終えており、もう房に戻っている。
幸せそうな顔をしながらご飯を掻っ込むロックを見ながら、私はデミグラスソースがかかった半熟オムライスをまた一口食べる。

実際今まで収容されてきた刑務所の食事は不味いものが多かったが、ここの食事は本当に美味しい。
囚人の脱獄防止という目論みもあるだろうが、ただ純粋に厨房の人達の信念だろう。

「ま、たしかにここのメシは他ンとこと比べもんにならねぇくらいうまいしな。お前が病みつきになんのもわか…」
「んだとゴラァ!!」
「「「？」」」

そう言いながらジューゴがカレーを掬ったスプーンを口に運ぼうとした瞬間、突然の怒声と食器が割れる破壊音が食堂に響き渡る。

不思議に思い音をした方を見ると見知らぬ二人の囚人がケンカしており、周りはそれを遠巻きに見ている。

「なんだぁ？新入りか？」
「そうみたいだな。まだココ(食堂)のルールを知らねぇみたいだし」
「いつものことでしょ。一種の通過儀礼だよ」

まぁそうだな、と私の言葉に同意するロック。
未だ取っ組み合いを続ける彼らに私達は声をかける。

「オーイお前ら。ココで騒ぐとロクなことねーぞ」
「そーそー」
「今の内にやめるのをお勧めするよ」
「ああ!?」

唐突の横槍に一人が睨みつけるが、私達は怯えた様子は見せなかった。

「あいつら何言ってんだ？」
「騒ぐとなんだってんだよ…」

二人は私達の方に気を取られていて気付いていないが、後ろから巨体が迫っていた。

「ぐぇっ」
「うぐっ」

二人の新入りの首を鍛え上げられた上腕二頭筋で絞めるシルエット──それはここの見習いシェフのシロである。

「よォ『シロ』。今日は随分張り切ってるな」
「相変わらずでけーな」
「いつもご苦労様」

周りがシロの存在にビクビク震えている中、私達は普通に言葉をかけると彼は一回頷いた。

というか、締め上げられてる新入りさん達の顔が真っ青なんだけど…これ絶対チアノーゼになってるでしょ。