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べつに、揃えておなじ大学を選んだつもりはない。
しかし気づいたら、高校を卒業してもおれたちは一緒にいて、こうしておなじ学生生活を送っている。
腐れ縁というものは、本人たちが意識するよりよっぽど根の深い場所で絡み合っているものなのかもしれない。
複雑に、解けないほどに。
【会いたい】
「わざわざメールで言う必要ないんじゃない」
「思った？」
人気のすくない８号館の、誰もいない空き講堂。
その端と端に座り、おれは窓際の席に座るあの横顔をにやにやと眺めた。
たぶん、そう、なんとなく、今のおれはむちゃくちゃに顔がゆるんでいると思う。
Aは読んでいた本を閉じると、そのふたつのビー玉をこちらに向ける。
「もうむっちゃ溜まってんねん」
「ずいぶんはっきりした物言いね」
「おれ回りくどいの嫌いやん？」
て、そんなん知らんか、と一人つぶやきながら、おれは席を立った。
金曜日の空き時間、Aは大概ここの講堂でひとりで本を読んで過ごしている。
きらきらした日の光が差し込むなか、歩み寄るおれを従順に見上げるその目の奥を、この手でぐちゃぐちゃに壊してやりたいと____________
それはいつも、ふいに襲いくる衝動。
おまえに憑かれたおれが、かかってしまった呪いのようなもの。
「なあ、相手してや」
「今日？」
「おん。オマエの授業が終わったら」
「……ごめん。今日は他に」
「ん？約束しとんの？」
顔をのぞきこんでも、揺れるようすのないひとみ。
どうしてこんなに感情のない目をしているのか、気にならないことはないのだが、べつに理由なんてどうだっていい。
他の女と違うからこそ、ハマりがいがあるわけで。
お互いに、肉体的要素以外についてはまったく干渉しないからこそ成り立っているわけで。
それ以上の興味も欲求も、おれにはなかった。
「オマエ、今何人と関係持っとんの？」
「……さあ」
「さあって。まあおれも人のこと言えへんけど」
つまらんなぁ、と、ため息。
「咥えるだけでもええねんで？」
「遠慮しておくわ」
「なんでやねん。いっつも美味そうにするやんけ」
すっからかんの講堂に、おれたちの声が響く。
つまらんなぁと、２回目のため息を吐いて、食堂でも行こうかと腰を上げた。
すると背後から掴まれた、ジャケットの裾。
「…………」
そっとその場に跪き、黙ったままベルトに指をかけるAの姿に、頬がほころぶのを感じた。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツさーん！ありがとうございます！うれしいです！がんがん進めていきます笑 明るくない話ですが楽しんでいただけるようがんばりますね！^ ^ (2018年2月1日 11時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさん！待ってました！！新作の世界観に、はぁもうまたため息…やっぱり好きです！！続きを楽しみにしています！ (2018年2月1日 1時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年1月31日 16時
