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きみとのデートの日、オレは毎回朝早くから支度をする。
苦手な早起きをし、シャワーを浴び、女の子のように身だしなみに時間をかけ、その日のプランを見直し、財布の中身を確認する。
車の調子をたしかめ、もう一度忘れものの有無を振りかえってから、待ち合わせの30分前にはそこに着くよう、きみを迎えにいく。
まるで従者だ、と自分でも思う。
彼女と出会う前、恋人に尽くし過ぎるやつは男も女もどうかと思っていたが、それがどうだ、今ではこの有様。
ふいに嘲笑がこぼれる。
それでも、今日がかけがえなくすてきな１日になることをわかりきっているオレは、ほんとうに、狂うほど彼女をあいしている。
「おはよう」
時間ぴったりに現れた彼女は、前にオレが贈った銀色の宝石を、胸もとで輝かせていた。
服も、よく見ればオレと選んだものばかりで、きみがそんなふうに律儀に贈りものを身につけてきてくれることは滅多になかったから。
「おはよ」
恒例の、挨拶代わりのキスを交わすのを、すこし躊躇ってしまった。
なんとなく怯んでしまったのだ。
きみがあんまりすなおだったから。
「今日はどこ行く？」
いとおしい肩を抱き寄せ、何度も唇を合わせながら、オレは訊いた。
返ってくる答えはわかっていたが、これも恒例だった。
「あなたの行きたいところへ」
車を走らせ、最初に向かったのは海やった。
理由は、美術学科の次の創作課題のテーマが海であることを、ヤスからきいていたからだ。
時期も時期で、まだ午前中のため、浜辺に人はほとんどいなかった。
堤防に並んで腰を下ろし、コンビニで買ったあたたかい飲みものを飲みながら、ただじっと壮大な青の世界を眺めた。
「広いわね」
Aちゃんは、何度もそう言った。
そう言っては空を見上げ、また海を見、終いにはオレの肩に頭を寄せた。
ああ、幸せだと____________そう思った。
昼からは買いものに行き、デパートで化粧品を、そしてジュエリーショップでピアスを買った。
きみによく似合いそうなワンピースも買った。
「ありがとう」
そのたびにきみは、そっと微笑んだ。
それから市内の高級ホテルに移動し、ディナーを食べた。
そうして彼女を家に送り届けようとしたのだが_______帰りたくないと_______珍しく彼女がいやがったため、陳腐なラ ブホテルに移動した。
煙草のにおいの染みついた、湯の気配と見知らぬだれかの気配が残った部屋。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツさーん！ありがとうございます！うれしいです！がんがん進めていきます笑 明るくない話ですが楽しんでいただけるようがんばりますね！^ ^ (2018年2月1日 11時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさん！待ってました！！新作の世界観に、はぁもうまたため息…やっぱり好きです！！続きを楽しみにしています！ (2018年2月1日 1時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年1月31日 16時
