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【ママが心配するから】
会いたいと送ったメッセージに返ってきた返事は、
まあ、予想通りで。
おれは大人しく帰路につくことに……いや、正確には、章ちゃんちに上がりこむことにした。
バスルームから響くシャワーの音をききながら、ソファの上に寝転がり、暇つぶしに何回も通話を試みてみるが、見事にすべて切られてしまう。
そのうちそれにも飽きて、スマホを放り出した。
……ママが心配するから、て。
あいつ、自分家におるときは電話にも出えへんねん。
一度だけ、Aの母親を見たことがある。
高１のとき_______たぶん、おれ以外の他の誰も気づいていなかったと思うけど_______Aが５日続けて学校を欠席したことがあった。
放課後、たまたま日直だったおれが職員室に出向くと、見たことのない40歳前後の女のひとがうちの担任に詰め寄っていた。
―うちの子が学校に行きたがらないんです。クラスになにか問題があるに決まっているわ！―
次の日、Aは平然と登校した。
それ以来約２年半、卒業まで、彼女が学校を休むことは二度としてなかった。
「亮。風呂空いたで」
いつの間にか寝ていたらしい。
狐色の髪を湿らせたこの部屋の主人が、おれの顔を覗きこんでいる。
「ん……ありがと」
「ほら、はよ起きて。風邪ひくから」
「章ちゃん起こしてぇ〜」
「もう！しゃーないなぁ……」
章ちゃんは大学進学を機に、一人暮らしをはじめた。
実家から通えないこともないが、いい社会勉強になるからと家族に勧められたらしい。
だからおれはこうして時々(というかしばしば)彼のアパートにお邪魔しては、ふたりでなんてことのない時間を過ごしている。
章ちゃんに引っ張り上げてもらい、なんとか尻を上げた。
ここのソファはいつだって無駄に寝心地がいい。
「…………」
ふと、背中に視線を感じて、風呂場に行きかけた足を止めると、章ちゃんがじっとおれを見つめていた。
ふたつの目が、星のようにきらきら輝いている。
なに？と首をかしげたら、べつに、なんて、なんや昔そんなこと言うてる女優がおったような。
「ちゃんと肩まで浸かるんやで」
「へーへー」
彼はたまに、兄貴みたいなことを言う。
でも、その関係性が心地よかったりするから、おれはおとなしく章ちゃんに世話を焼かれておく。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツさーん！ありがとうございます！うれしいです！がんがん進めていきます笑 明るくない話ですが楽しんでいただけるようがんばりますね！^ ^ (2018年2月1日 11時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさん！待ってました！！新作の世界観に、はぁもうまたため息…やっぱり好きです！！続きを楽しみにしています！ (2018年2月1日 1時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年1月31日 16時
