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「先生さあ」
たっぷりと１時間、ふとんのなかで眠らせてもらったおかげで幾分かすっきりとした気持ちになりながら、オレは言った。
「この学校に彼女でもおんの？」
「は？」
デスクでノートパソコンに向き合っていた先生は、今度こそあきれて眉をひそめる。
「なにを言うてんねん？」
「んー、なんかあ。そんな噂聞いたから」
「俺が誰かと付き合ってるて？」
「先生が、生徒を家に連れ込んどるって」
「……アホらし」
昼下がりの光に溶けたため息。
授業戻れよ、とひらひら手を振るその姿を横目に、オレは仕方なく保健室を後にする。
なんか、思ったような反応じゃなかったな。
もうすこし取り乱すかと思ったが、あの様子じゃあただの勘違いか、あの女子が嘘をついたのか。
すこし白けた気分になりながら、その日は６限目を受けて、部活に行って、帰った。
それからほんの数日後。
体操着を忘れた_______というより持ってくるつもりもなかった_______オレは、午前のうちから保健室に立ち寄った。
消毒液のにおいが染みついた部屋には、しかし、だれも居ない。
こういうことはたまにある。
先生が職員室に行っていたり、昼食を買いに外のコンビニへ行っていたり。
オレは勝手の知れた室内を歩き回り、そして、デスクの上に奇妙なものが置かれていることに気づく。
それは、鍵だった。
鉄の色に濡れた、何の変哲もない鍵がふたつ。
そのふたつの鍵を結ぶ黄色のリボンに、マジックペンで『屋上』と書かれてある。
屋上。
「あそこ、立ち入り禁止やんな」
つぶやいた声に、返らない返事。
ふと、うちの高校の屋上が、緊急時のドクターヘリを停めるためのヘリポートとして指定されていることを思い出し、ここにその鍵があることを納得する。
同時に、ささやかな衝動が胸を支配した。
「…………」
オレはその鍵をポケットに入れた。
ただの、出来心だった。
軽やかな足取りで向かった先、５階の、さらに上へと伸びる階段を駆け上がると、重そうなとびらが厳重に閉ざされている。
まずはひとつめの鍵を、ドアの取っ手に回された南京錠に差し込む。……開いた。
次にふたつめの鍵を鍵穴に差し、ゆっくりと右に回して______________
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「いらっしゃい」
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べに(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツさーん！ありがとうございます！うれしいです！がんがん進めていきます笑 明るくない話ですが楽しんでいただけるようがんばりますね！^ ^ (2018年2月1日 11時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさん！待ってました！！新作の世界観に、はぁもうまたため息…やっぱり好きです！！続きを楽しみにしています！ (2018年2月1日 1時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年1月31日 16時
