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首を絞めたとき、君は決まって笑みを浮かべる。
おどろくほど美しい微笑。
そのたびに俺は正気に戻り、この右手は君を、ころさなくて済む。
それは、取り繕った日常生活の反動なんやろうか。
なにかに夢中になったとき、自分で自分が制御できなくなってしまうことがある。
あのときもそうだった。
蓋をしていたはずの衝動があふれだした一瞬、いつの間にか君のちいさな喉を両手で絞めつけていた俺は、
「ま、るやま、く……」
弱々しい声も耳に届かず、
「……あ……」
その華奢な身体が尋常ではない痙攣をはじめたことにも気がつかず、掌から伝わる感触に夢中になって、体重をかけ続けた。
翳を帯びたひとみから、急速に生気が薄らいでいく。
睫毛の端、こぼれ落ちた一筋の涙。
そのとき、君は_________________
「……！」
瞬間、俺は我にかえった。
圧していた細い首を解放し、自分の掌を呆然と見下ろしながら、でも俺は、無意識のうちにヒトをころそうとした自分自身のことより、目の前で激しく咳き込むこの少女のことを、心底おそろしく思った。
気づいてしまった
君が、いつだって満たされないように嗤う理由に
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「隆平くん」
恋人のミナコちゃんは、かわいい。
明るくて、よく笑って、気遣いができて、友だちも多くて。
高１の冬、となりのクラスだった彼女に告白されて交際をはじめ、もう……四年以上になるのか。
「ん？どした？」
「ふふっ、なんでもなーい！」
「えぇ！なんやのそれ〜！」
ニコニコして腕に抱きついてくる、ミナコちゃんの胸元には、恋人になってはじめてのホワイトデーに俺がプレゼントした、決して高価なものとは言えないネックレスが光っている。
デートのとき、彼女はいつもそれを身につけてきてくれる。
俺を見上げる屈託のない笑顔を見ていると、ほんとうに、心の底からあいされているのだと実感する。
後ろめたさは、まったくないわけではない。
でも、彼女があいしているのは、周囲の知る表面的な俺でしかないのだ。
そうして俺も、繕った姿の俺も、真っ当な社会生活のなかに生きるために、彼女を必要としている。
ほんとうの顔なんて、見せなくていい。
善人だろうが悪人だろうが関係はないのだ。
嘘をまとうことが正しい人生も、この世の中にはたくさんある。多くのひとが気づいていないだけで。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツさーん！ありがとうございます！うれしいです！がんがん進めていきます笑 明るくない話ですが楽しんでいただけるようがんばりますね！^ ^ (2018年2月1日 11時) (
レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - べにさん！待ってました！！新作の世界観に、はぁもうまたため息…やっぱり好きです！！続きを楽しみにしています！ (2018年2月1日 1時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：べに
| 作成日時：2018年1月31日 16時
