離れていても ページ7
「A」
一人きりの部屋で、小さく彼女の名前を呼んだ。
当然返事は返ってこない。
最近はずっとこんな調子だった。
寂しい、と思った。
彼女とは二年前から付き合い始めたが、去年から遠距離になった。
彼女は夢を追いかけて、ここから遠く離れた所で一人暮らしをしている。
会いたいな。
どんどん想いは募っていく。
その分、不安になる。
Aは優しい。
優しいから無理して付き合っているかもしれない。
ただ別れを切り出せないだけで、本当は好きではないかもしれない。
…他に好きな人ができてしまったかもしれない。
なんて、そんな自分の女々しさが嫌になる。
それでも我慢はできなくて、カメラロールにある彼女の写真を眺めた。
どこまでスクロールしても終わりが見えなくて何だか笑ってしまう。
ピンポーン…
滅多に鳴らない音が聞こえて、不思議に思いながらモニターの画面を覗いた。
「え？」
バタバタと急いで玄関に向かう。
自然と口角が上がっていた。
ドアの鍵を開けると、向こうからドアが開かれる。
「…久しぶり」
『久しぶり、亮くん』
お互いに笑みが溢れる。
会ってしまえば、さっきまでのような後ろ向きの思考はどこかに飛んでいった。
鍵を閉めた後、その場で両腕を広げたら嬉しそうに抱きついてきて、彼女の肩に顔を埋める。
懐かしい、彼女の匂い。
「Aの匂いがする…」
『え、臭い？』
「そうじゃなくて」
変わらない大好きな声が懐かしくて嬉しい。
上着を預かってハンガーに掛けると、彼女はソファに座ったままこっちを振り向いた。
『亮くんも来て』
「ん」
ずっと一人だった部屋に彼女がいるのは嬉しい違和感があった。
隣に座れば彼女は軽く体重を預けてくる。
「急にどうしたの。何かあった？」
『…寂しくて』
彼女は呟くようにそう言った。
少し慌てて、ちょーっとだけね、と後から加える。
「…その一言余計だよ」
『え？』
「俺はめちゃくちゃ寂しかった！」
物凄く恥ずかしいことを口走った気がして、その勢いのまま彼女にもたれかかった。
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麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます〜！今回の更新もかなり日が空いてしまってすみません…。感想もいただけてとっても嬉しいです！更新は、どうか気長にお待ちください！(*´∀`) (2021年12月23日 8時) (
レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません｡｡｡ かなりお久しぶりです。 更新ありがとうございます。 物語読みました。 続きが気になります。更新待ってますね。 (2021年12月14日 0時) (レス) @page35 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます！ご指摘の部分は全て修正したと思います！苗字の表記の所、単純に私のミスでした…すみません。タイトルの「再開」はわざとで、「再会」との掛詞です！紛らわしくて申し訳ないです…。ご丁寧にありがとうございました！更新も頑張ります(*´∀`) (2021年8月11日 21時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語短編で読みやすかったので一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 ○ページ23のここの部分 「(名字)」とここの部分 名字)に話しかける口実が欲しくて、授業では寝たふりをして彼女を見ていた。 これも名字が無くて名字表記なのですが｡｡｡ (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦 | 作成日時：2021年4月11日 21時
