○ ページ13
.
『ただいまー』
玄関には私のローファーと、黒いスニーカー。
「おかえり」
すると、寝室のドアからひょっこりと顔を覗かせて亮が返事をした。
「遅かったね」
『今日部活長引いたから。逆に亮は早いね』
「俺今日は部活オフの日」
毎日オフがいいなぁ、と伸びをして言う彼は、なぜ帰宅部にしなかったのだろう。
部活で汗をかいたから、とりあえず体だけシャワーを浴びようとお風呂場へ向かう。
そしてお風呂から上がり、棚から下着を出して身に付ける。
そこまで終わってから、なにも着替えを持ってきていないことに気がついた。
…忘れてた。亮のせいだ。
仕方なく一度脱いだ制服を着る。
寝室に戻ると、まずベッドにごろんと寝転ぶ彼が視界に入る。
「…着替え取りに来たの?」
『うん』
亮は、なぜかじっと私を見つめてくる。
『…なに?』
「なんか、制服いいなーと思って」
『いっつも学校で見てるじゃん』
高三のJKだとしても、みんながみんなスカートを折ったり色々加工したりして可愛くしている訳ではない。
そんな私も、ただ校則通りで地味な、普通の制服のまま過ごしてきた。
「ちゃんと見たこと無かったんだもん、Aの制服姿。学校ですれ違ったってすぐ通り過ぎるし」
学校で話さないのは当たり前だ。
クラスも部活も違う、そんな男女が仲良くするなんて、特にこいつが相手だと変に疑われる。
平穏に学校生活を送りたいんだから。
例え同居している恋人だったとしても、学校では赤の他人のふり。
「萌える、制服」
『変態出てるってば』
そんなことを言い合っていたって、両腕を広げた彼には近づいてしまう。
背中に腕が回ってきて、大人しく抱きしめられた。
すると、彼からふわりとシャンプーの匂いがした。
『亮ももうお風呂入ったの?』
「うん。だって…ね?」
察してほしいと言わんばかりに含みのある言い方。
にやりと笑った彼は、私の顎を軽く持ち上げて唇を重ねてくる。
音を立てて離される。
私は、彼の熱を纏った目に惹き付けられていた。
「明日学校サボる?」
『…どっちでも?』
素直じゃないねえ、という声と同時に、彼は私のシャツのボタンに手をかけた。
ぎしりとベッドが軋む音。
夕日が沈んでいく。
172人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます〜!今回の更新もかなり日が空いてしまってすみません…。感想もいただけてとっても嬉しいです!更新は、どうか気長にお待ちください!(*´∀`) (2021年12月23日 8時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 かなりお久しぶりです。 更新ありがとうございます。 物語読みました。 続きが気になります。更新待ってますね。 (2021年12月14日 0時) (レス) @page35 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます!ご指摘の部分は全て修正したと思います!苗字の表記の所、単純に私のミスでした…すみません。タイトルの「再開」はわざとで、「再会」との掛詞です!紛らわしくて申し訳ないです…。ご丁寧にありがとうございました!更新も頑張ります(*´∀`) (2021年8月11日 21時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語短編で読みやすかったので一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 ○ページ23のここの部分 「(名字)」とここの部分 名字)に話しかける口実が欲しくて、授業では寝たふりをして彼女を見ていた。 これも名字が無くて名字表記なのですが。。。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麦 | 作成日時:2021年4月11日 21時