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ガチャ…
「おかえりー」
すっかり日が暮れた頃、玄関のドアが開く音がしてそう声をかけた。
でも返事が返ってこなくて、首を傾げる。
玄関には、外から夜の冷たい風が流れ込んでいた。
「A？」
リビングの薄いドアを開けて玄関へ向かうと、そこには下を向いて座り込んだAがいた。
『…ただいま』
ほんの少しだけ顔を上げて、耳をすましてやっと聞こえるくらいの声量で彼女は言った。
影が落ちて彼女の表情が見えないことに不安になる。
「A。どうしたの？」
すぐ傍に腰を下ろして、彼女の頭を撫でる。
ずっと昔からお互いに何かあったときにはこうする、二人の間だけの癖。
しばらくそうしていれば、Aは倒れるように抱きついてくる。
『…ふられちゃった』
小さな彼女の背中に腕を回して、手の平で落ち着くように擦る。
こんなときは話を聞くくらいしか出来ない。
『正直ね、分かってたんだ。最近上手く行ってないなー…って。だから、今日久々に電話かかってきて、嬉しかった…のに、』
紡がれる言葉は弱々しくもあって、でも付き合っていた彼に執着している訳でもなさそうで。
＿＿さっさと別れろ。
俺が、望んだ通りになった。
Aが傷付くことは望んでいないのに。
でも好きな人が幸せならそれでいいなんて思えるほど俺は良い奴じゃない。
だからAがあいつと別れて、少なからず嬉しいと思う自分がいた。
勝手に口の端が歪むのが分かる。
『亮、』
「ん？」
『ごめんね。こんなこと、亮には全然関係ないことなのに』
そう言って体を離そうとするから、俺はほどけそうだった腕に力を込めて、思い切り引き寄せた。
うわっ、という声と一緒に飛び込んできたAを抱き締める。
「…俺、最低なんだ」
『え…？』
「Aが付き合ってた奴らと別れる度、俺にしとけば良いのにってずっと思ってた。
別れて傷ついてる所を一番傍で慰めながら、やっと別れたんだって喜んでた」
一気に話して彼女の方を見ると、こっちをまっすぐ見つめる視線とぶつかる。
全身が震えた。
怖い、けど、止まれなかった。
…俺は、
「…ずっと、Aが好きだった」
もしもたった一言で、関係が壊れてしまうとしたら。
もう戻れないと、分かっている。
「季節が笑う」秦基博
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麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます〜！今回の更新もかなり日が空いてしまってすみません…。感想もいただけてとっても嬉しいです！更新は、どうか気長にお待ちください！(*´∀`) (2021年12月23日 8時) (
レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません｡｡｡ かなりお久しぶりです。 更新ありがとうございます。 物語読みました。 続きが気になります。更新待ってますね。 (2021年12月14日 0時) (レス) @page35 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます！ご指摘の部分は全て修正したと思います！苗字の表記の所、単純に私のミスでした…すみません。タイトルの「再開」はわざとで、「再会」との掛詞です！紛らわしくて申し訳ないです…。ご丁寧にありがとうございました！更新も頑張ります(*´∀`) (2021年8月11日 21時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語短編で読みやすかったので一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 ○ページ23のここの部分 「(名字)」とここの部分 名字)に話しかける口実が欲しくて、授業では寝たふりをして彼女を見ていた。 これも名字が無くて名字表記なのですが｡｡｡ (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦 | 作成日時：2021年4月11日 21時
