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「俺の【呪い】は他の皆とは少し違うものなんだ」
「違う?」
「そう。俺の【
「それって、皆が使ってる……?」
「うーん……俺がクラウド卿との橋渡しを担っているのは、来た時に説明したよね?」
ほんの数日前の出会いは、未だに鮮明に覚えている。
その時に受けた説明も、ここまでの驚きの数々も全て僕の頭の中に記憶されている。
「ここにいる皆は、日常生活内の簡単な魔法しか使えないけれど、俺の場合はもっと大それた魔法も使えるんだ」
「魔法使い、なの?」
「ただし制約はあるよ。この靴を履いている時にしか魔法は使えない」
そう言って雄也は黒いブーツを見せる。
随分と変わったデザインのものだと思っていたけれど、まさか【呪い】によるものだったとは。
「ただし、魔法はこの靴の対になる【ガラスの靴】の持ち主の意向に沿ったものしか使えない」
「……【ガラスの靴】?」
「その靴はもうお分かりの通り、主様が持っているんだ。だから俺は主様の意向に沿った魔法しか使えない」
「……それを破っちゃったら?」
「その時に発生するのが【代償】だね。……けれど、主様は基本的にどんなことでも自由にすることを許して下さっているから、俺が【代償】を支払うことは基本的にはない」
「という事は……【代償】が無いってこと?」
「そうだね。主様が俺の魔法を嫌わない限りは、ね」
そう言って足を組む。
ブーツの底に光る金具が、光に反射して僕の目に眩く照らされる。
「【銀の靴】と【ガラスの靴】……これが俺の【呪い】の絶対条件なんだ」
「【銀の靴】は、それ……?」
「そうだよ。見た目は全く分からないけど、これが【銀の靴】。……でも俺みたいな【呪い】は結構特殊なんだ」
【人を呪わば穴二つ】とは、よく言ったものだ。
クラウド卿が全てを許容してしまう限り、彼に【代償】が訪れる日は無い。
「あとは今回山田と一緒に行った光くんも、俺と似たようなものかもね」
「……僕は会った事はないけれど、その方も今は【代償】に苦しめられているの?」
「うーん……彼も俺と同じで特殊だから、山田みたいに分かりやすくはないはずなんだ」
これから会いに行ってみるかい?
そう誘われ、雄也が窓の外を指さした。
彼の指さした先には、裕翔から悪魔が住むと言われたあの高い塔があった。
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作者名:天凪 | 作成日時:2022年6月21日 23時