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「えぇ……」
ここで起こることには当分驚かないと決めていたものの、これには驚かざるを得ない。
実際、元々住んでいた家も自慢ではないがかなりこだわって庭園を造っていた。
僕が花が好きなのもあってか、両親は名のある庭師を何人も呼んで定期的に庭を造り変えていたのだ。
それを、たったの一瞬でこんなに……?
これでは世界中どこを探しても、この庭園を一瞬で作れる庭師など存在しない。
「初めて来た人はみんなびっくりするよね。特に高木くんの力はトップクラスに強いし」
「雄也は、一体何者なの……」
こっちだよ、と手を引かれ、彼に導かれるまま洋風な造りの門をくぐる。
そうして階段を上がったところに彼の部屋はあった。
【No.1 Tourmaline】
「……1番?ということは、君がここに初めて来た人…?」
「そうだね。もう130年は前になると思うんだけど」
うーん、と考えるそぶりの傍ら、思わず大きな声を出しそうになってしまう。
……130年前にここに来た!?
「【呪い】を引き継ぐ者が居なくなれば順番が繰り上がるんだけど、1番はずっと俺だから入れ替わるのは2番より下なんだよね」
「あの……その前に、130年前って……」
「ああ、俺ね、年を取らないんだ」
あまりにもさらっと言われても理解が追い付かない。
まだ無邪気さの残る仕草や言動に反し、物事を俯瞰しているような視線。
その相反する二つが同時に入り混じっている彼の言葉は果たして本当なのだろうか。
「俺の……トルマリン国の【呪い】は【
ほらね、と長い指先をフッと一振りする。
するとそれだけで部屋に置かれた大きなソファが宙に浮いた。
「……これが、【呪い】の力……!」
「人を呪わば穴二つってね。俺たちも、ただ自由に【呪い】を操れるわけじゃないんだ」
「何か制限があるの?」
「【呪い】を操ればもちろん【代償】が必要なんだ。この力はそれほどまでに恐ろしいものなんだよ」
「……それじゃあ、裕翔の【代償】って……」
「重力を操ることができるということは、裏を返せば常に重力を操り続けなければいけないんだ。この世界には常に重力が働いているからね」
何事もなかったかのように元の位置に戻ったソファに座り、彼の長い脚が組まれる。
「その代わり、重力を操っている間はこの世界から切り離され、年を取らなくなったんだ」
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作者名:天凪 | 作成日時:2022年6月21日 23時