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自分のことをそう語る涼介の瞳は、何だか暗い色をしていた。
それが何を意味するのかは、心を読まずともわかる。
──彼も、僕と同じなんだな。
たった一瞬だった。
けれど、それを理解するのには十分すぎる時間だった。
そして、涼介の持つ【
ここに来て雄也が言っていた【他言無用】は恐らくこのことだろうと瞬時に理解できた。
僕たちが個々に持つ八つの【呪い】はこの世界において、もっとも危険なものだ。
それゆえに、世界中の人々から遠ざける必要があった。
そのために僕たちは【招待状】を受け取ってこの屋敷に来たんだ。
だけど今度は八つの国に散らばっていたはずの【呪い】が一カ所に集まってしまった。
その八つの【呪い】が結集してしまわないように。
だから、口出しは出来ないルールが僕たちに課せられた。
それが本当かどうかは分からないが、恐らくそれ以外に理由がない。
「俺も初めてここに来た時は色んなことに戸惑ったけど、今ではすっかり慣れっこだよ。知念もそのうち慣れるだろうから、最初は何でも聞いて」
「ありがとう、涼介」
地位や名誉のための社交辞令。
思ってもいないことの嘘で塗り固められたパーティー会場。
その全てが、涼介にとっては意味のない飾りなのだろう。
ニコリと優しく微笑む涼介の言葉は屈託なく透き通っていて。
だけど、それも彼の【呪い】の力によって捻じ曲げられた嘘なのかもしれない。
半信半疑のこの気持ちは、どのみち彼を頼らざるを得ない現実に飲み込まれていく。
「……それにしても、いつも皆はどうやって過ごしているの?外に出られないと退屈じゃない?」
「いや、むしろこの屋敷では雄也がいる限り出来ないことはないからね。何でも出来るよ」
「……クラウド卿の魔力、だっけ?」
この屋敷にいる限り、魔法で何でも解決できてしまう。
そんな便利な情報を、ついさっき雄也から聞いたばかりだ。
「そうだね。主様の力のおかげだね。だけど、一生ここから出られないわけじゃないんだ」
「……ここから出る日が来るの?」
「決められた日なんだけどね、ちょうどそこの壁に……」
雄也が指さす先には食堂の壁に大きくて荘厳な装飾の施された立派なカレンダー。
それがところどころ印のついている日がある。
「この印が付いている日に、自分の番号があればこの屋敷から出ることを許可されるんだ」
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作者名:天凪 | 作成日時:2022年6月21日 23時