カースト1位《桃》 (ページ2)

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１話ページ2

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　いつの時代でも、どこにいてもそう。集団にはヒエラルキーというものが存在する。これまでの人生、私はいつもその最下層にいた。お下げ髪に眼鏡の、所謂地味子ちゃんってやつ。私に唯一良くしてくれる親友は昔からの腐れ縁であり、クラス内でも超ハイカーストのモテ子。暗くて地味な私とは正反対の、明るく元気な女の子。そんな彼女は今、同じクラスの森本くんに恋をしている。
　彼はこのクラスのカースト最上級と言っても過言ではない人。溌剌として運動神経抜群で、勉強はちょっと苦手みたいだけど愛嬌があってみんなから好かれている人気者だ。親友と森本くんならお似合いだと思う。流石はヒエラルキー上位層って感じ。
　私とは、住む世界が違うなあ。

「誰か美化委員やってくれないかー」

　学年が上がって数回目のHR内容は委員会決めだった。人気の委員会が続々奪い合いになる中、余った美化委員は朝早くから花壇の水やり、休日のボランティア活動など仕事量が多いため基本的に不人気だ。少しでもみんなの役に立てるなら、ここは地味な私がひっそり引き受けよう。個人的な座右の銘は「一日一善」理にかなっていて丁度いい。

「せ、先生。私やります」

　人目を忍びつつそっと手を挙げたはずなのに、教室内の目が一斉にこちらを向いた。うわ怖い。

「よーし、じゃあ一人決まったな。あともう一人、男子誰かいないかー」
「せんせー、私森本がいいと思いまーす」
「えっ、俺！？」

　委員会活動は避けたかったのか、ずっとだんまりを決め込んでいた森本くんを我が親友が急遽美化委員に推薦し始めた。本人からはどう見てもやる気など感じられないのだが。余っている男子が少ないこと、他に希望者がいないことが災いしてしまい、あれよあれよという間に彼も美化委員に仕立て上げられてしまったのだった。そっと前のめりになり、艶々の栗毛に小さく声をかける。

「何で森本くんを推薦したの？」
「だってあんたの付き添いすれば、話せるチャンスじゃん」
「……あっきれた」